離婚時の財産分与と退職金(対象になる考え方・基準時・贈与税)

退職金が離婚時の財産分与の対象になる考え方と、基準時、必要な書類、分与を受けたときの贈与税の扱いを、裁判所と国税庁の公開資料で整理します。

退職金が財産分与の対象になる考え方

札幌家庭裁判所の資料によると、財産分与の対象は、夫婦が婚姻中に協力して取得・維持した財産で、夫婦どちらの名義でも対象になります。婚姻前に取得した財産や、婚姻後でも相続等によって取得した財産は対象になりません(特有財産)。

大阪家庭裁判所の資料は、退職金について次のように説明しています。会社に退職金規程がある場合、30〜40代であっても給与の後払いとしての退職金が潜在的に発生しています。定年退職金ではなく、原則として基準日に自己都合退職していたとした場合の退職金を調べ、それを勤続期間(月数)と婚姻後の同居期間(月数)で按分したものが、財産分与の対象財産になります。

すでに支給された退職金が預貯金などに変わっている場合の扱いは、確認した裁判所の資料に個別の記載がありません。弁護士または家庭裁判所へ確認してください。

基準時と必要な書類

項目資料の内容
基準時共同の財産を維持するための夫婦の協力関係が終了した時。一般的には別居を開始した日(札幌家庭裁判所)
退職金の資料別居日に自己都合退職したと仮定した場合に支払われる金額が分かる書面。勤務先作成の退職金証明書、退職金規程等(札幌家庭裁判所)
退職金の証拠就業規則、退職金計算書(大阪家庭裁判所)

退職金の水準は退職金の相場、受け取るときの税引後の手取りは手取り計算で確認できます。分与の割合や金額は事案ごとに異なり、このページでは示しません。

分与を受けた側の税

国税庁のNo.4414によると、離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税はかかりません。夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づく給付と考えられるためです。

次のいずれかに当てはまる場合は、贈与税がかかります。

渡した側の税

国税庁のNo.3114は、財産分与を土地や建物などで行った場合、分与した人に譲渡所得の課税が行われると案内しています。退職金そのものの分与について、渡した側・受けた側の所得税の扱いは、確認した国税庁の資料に記載がありません。分与との関係は税務署または税理士へ確認してください。退職金が差押えの対象になる範囲は退職金は差し押さえられるかで整理しています。

よくある質問

退職金は離婚の財産分与の対象になりますか。

大阪家庭裁判所の資料は、会社に退職金規程がある場合、30〜40代であっても給与の後払いとしての退職金が潜在的に発生しているとし、原則として基準日に自己都合退職していたとした場合の退職金を、勤続期間(月数)と婚姻後の同居期間(月数)で按分したものが財産分与の対象財産になると説明しています。個別の事案での扱いは弁護士または家庭裁判所に確認してください。

退職金の財産分与は、いつの時点で考えますか。

札幌家庭裁判所の資料は、財産分与の基準時を、共同の財産を維持するための夫婦の協力関係が終了した時とし、一般的には別居を開始した日になるとしています。別居日として認識している日が当事者間で異なる場合などは、基準時の主張と根拠が必要になります。

退職金の財産分与に、どんな資料が必要ですか。

札幌家庭裁判所の資料は、別居日に自己都合退職したと仮定した場合に支払われる金額が分かる書面として、勤務先が作成した退職金証明書や退職金規程等を挙げています。大阪家庭裁判所の資料は、就業規則や退職金計算書を証拠にあげています。

離婚で財産分与を受けると、贈与税がかかりますか。

国税庁のNo.4414によると、離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税はかかりません。ただし、分与された財産の額が多過ぎる場合はその多過ぎる部分に、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は財産すべてに、贈与税がかかります。

分与を受けた側・渡した側の所得税は、退職金についてどうなりますか。

国税庁のNo.3114は、土地や建物で財産分与をした場合に分与した人へ譲渡所得の課税が行われると案内しています。退職金そのものの分与について、渡した側・受けた側の所得税の扱いは、確認した国税庁の資料に記載がありません。税務署または税理士へ確認してください。

裁判所の公開資料(札幌・大阪家庭裁判所)と国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)にもとづく一般的な説明です。財産分与の対象・割合・基準時は個別の事情で変わり、断定できません。離婚の手続きは弁護士・家庭裁判所、税の扱いは税務署・税理士へ確認してください。確認日: 2026-10-12。

出典