結論:65歳以上で退職すると、失業手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になる
雇用保険の高年齢被保険者(65歳以上の被保険者で、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者にならない人)が失業すると、高年齢求職者給付金が支給されます。額は、被保険者であった期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分です。申請は、離職の日の翌日から1年以内にハローワークで行います。
支給される日数と額
| 被保険者であった期間 | 高年齢求職者給付金の額 |
|---|---|
| 1年未満 | 基本手当日額の30日分 |
| 1年以上 | 基本手当日額の50日分 |
基本手当日額の考え方は、失業手当と同じ規定を当てはめて決まります(雇用保険法第37条の4第1項)。日額の目安は失業手当はいつ・いくらで確かめられます。
一時金額の計算例(失業手当との比較)
基本手当日額が5,000円だったと仮定した例です(日額はこのページの仮の数字で、実際の額は離職前6か月の賃金で変わります)。一時金の額は「基本手当日額 × 30日または50日」で、1回でまとめて支給されます。
| ケース | 高年齢求職者給付金(65歳以上) | 失業手当(基本手当)の場合の所定給付日数 |
|---|---|---|
| 被保険者期間8か月 | 5,000円 × 30日 = 150,000円 | 1年未満では自己都合の離職者は原則対象外 |
| 被保険者期間3年 | 5,000円 × 50日 = 250,000円 | 90日分(5,000円 × 90日 = 450,000円) |
| 被保険者期間15年 | 5,000円 × 50日 = 250,000円 | 120日分(5,000円 × 120日 = 600,000円) |
右の列は、65歳未満で自己都合などで離職した人(特定受給資格者や就職困難者以外)の所定給付日数です。65歳以上は被保険者期間が長くても50日分が上限のため、同じ期間では失業手当より少なくなります。失業手当は4週間ごとの認定で分けて支給され、高年齢求職者給付金は一度の認定でまとめて支給される点も違います。
所定給付日数は、ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」で2026-10-14に確認しました。
受け取る条件
ハローワークのリーフレットによると、次の2つをどちらも満たす必要があります。
- 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること。
- 失業の状態にあること。就職したい意思といつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動をしても就職できない状態をいいます。
家事や学業に専念する人、自営を始める人、次の就職が決まっている人、会社の役員などに就任している人などは、原則として支給を受けられません。
申請の流れと期限
- 住所を管轄するハローワークで、離職票を出し、求職の申込みをします。持ち物は離職票1・2、マイナンバーカード(ない場合は個人番号と身元の確認書類)、写真、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードです。
- 求職の申込みの日から、失業の状態が7日間(待期)続くまでは支給されません。
- 自己都合で退職した場合は、待期のあとさらに1か月の給付制限があります(令和7年3月31日以前の自己都合退職は2か月、重大な理由による解雇は3か月)。
- 指定された認定日にハローワークへ行き、失業の状態にあることの確認を受けると支給されます。
申請の期限は、離職の日の翌日から1年を経過する日までです(雇用保険法第37条の4第5項)。認定を受けた日から期限までの日数が30日または50日に満たないと、残った日数分しか支給されません。手続きが遅れると、日数分を受け取れないことがあります。
失業手当(基本手当)との違い
65歳以上の高年齢被保険者には、基本手当ではなく高年齢求職者給付金が支給されます。支給日数は上の表の30日分か50日分で、年齢や離職理由で所定給付日数が決まる基本手当とは仕組みが異なります。受給期間の延長を申し出る定年退職者向けの制度は定年退職後の失業手当の受給期間の延長で扱っています。年齢ごとの手続きの違いは退職手続き期限一覧にまとめています。
このページで扱わないこと
個別の受給資格の有無、金額、年金との調整は断定できません。ハローワークに確認してください。
よくある質問
65歳以上で退職すると、失業手当はもらえますか。
基本手当ではなく、高年齢求職者給付金が支給されます。額は被保険者であった期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分です。
高年齢求職者給付金の申請期限はいつまでですか。
離職の日の翌日から1年を経過する日までに、ハローワークで求職の申込みと失業の認定を受ける必要があります。
高年齢求職者給付金をもらうための条件は何ですか。
離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることと、失業の状態にあることです。
自己都合で退職すると、すぐに支給されますか。
すぐには支給されません。求職の申込み後に7日間の待期があり、そのあとさらに1か月の給付制限があります。令和7年3月31日以前の自己都合退職は2か月です。
出典
- 厚生労働省・ハローワーク「離職されたみなさまへ 高年齢求職者給付金のご案内」(mhlw.go.jp)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(hellowork.mhlw.go.jp)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(hellowork.mhlw.go.jp)
- 雇用保険法 第37条の2〜第37条の4(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)