期限が短い順の一覧表
起点は、退職日の翌日が基本です。健康保険と厚生年金保険は、退職した日の翌日に資格を失います(健康保険法第36条)。自分に当てはまる行だけ見れば足ります。
| 期限 | 手続き | 手続きする人 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 退職金を受け取る時まで | 「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ出す。出さないと20.42%が源泉徴収される | 本人 | 国税庁タックスアンサー No.1420 |
| 退職の翌日から10日以内 | 雇用保険の資格喪失届をハローワークへ出す(失業手当に使う離職票の元になる) | 会社 | 雇用保険法施行規則第7条 |
| 退職日の翌日から14日以内 | 国民年金第1号被保険者の加入手続き(市区町村) | 本人または世帯主 | 日本年金機構 |
| 国民健康保険に加入する事由があってから14日以内 | 国民健康保険の加入届(市区町村)。ほかの健康保険に入る場合は不要 | 世帯主 | 国民健康保険法施行規則第2条 |
| 資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内 | 健康保険の任意継続の申出 | 本人 | 健康保険法第36条・第37条 |
| 退職の日以後1か月以内 | 源泉徴収票・特別徴収票を受け取る | 会社が交付 | 所得税法第226条 |
| 加入資格を失ってから6か月以内 | 企業型DCの資産を、iDeCoなどへ移す(過ぎると自動移換) | 本人 | 厚生労働省の資料 |
| 離職の日の翌日から原則1年 | 失業手当(基本手当)を受けられる期間。この期間内の失業している日が対象 | 本人 | 雇用保険法第20条 |
| 翌年2月16日〜3月15日 | 確定申告(申告書を出していない人、医療費控除などを受ける人) | 本人 | 国税庁タックスアンサー No.2020 |
表の「14日以内」は2行あります。国民年金は日本年金機構が「退職日の翌日から14日以内」と案内し、国民健康保険は、被保険者の資格を取得した者がいるとき、世帯主は14日以内に届書を市町村へ出すと施行規則が定めています。どちらも、新しい勤務先の健康保険・厚生年金に入る場合は、この手続きは要りません。
退職日から数えた時系列の暦
上の表を、退職日から時間が進む順に並べ直しました。日付は退職日によって変わるため、起点からの数え方だけを示します。退職金の受取日と各期限の関係は、退職日の翌日を起点にして自分のカレンダーに書き込むと確かめやすくなります。
- 退職金を受け取る前:退職所得の受給に関する申告書を会社へ出す(申告書の解説)
- 退職日の翌日:健康保険・厚生年金保険の資格を失う。ここが多くの期限の起点(手続きチェックリスト)
- 退職の翌日から10日以内:会社が雇用保険の資格喪失届を出す。離職票の元になる(失業手当)
- 退職日の翌日から14日以内:国民年金・国民健康保険の加入手続き(国民年金の切替、国民健康保険料)
- 資格喪失日から20日以内:健康保険の任意継続を申し出る(保険料の比べ方)
- 退職の日以後1か月以内:源泉徴収票を受け取る(源泉徴収票の見方)
- 加入資格を失ってから6か月以内:企業型DCの資産を移す(企業型DCの移換)
- 離職の日の翌日から原則1年:失業手当を受けられる期間(失業手当はいつ・いくら)
- 翌年2月16日〜3月15日:確定申告の期間(医療費控除、影響する制度の一覧)
行ごとの注意点と解説ページ
退職金を受け取る時まで:申告書
期限を過ぎて出さなかった場合の金額の違いは、申告書を出す・出さないの違いに例があります。退職金の手取りの目安は手取り計算で確認できます。
10日以内:会社の手続きと離職票
雇用保険の資格喪失届を出すのは会社です。失業手当を受けるには離職票が必要になるため、退職が決まったら離職票をいつ受け取れるかを会社に確認しておくと、後の手続きが滞りません。失業手当の日数と金額の目安は失業手当はいつ・いくらにあります。
14日以内と20日以内:公的医療保険の選択
退職後は、国民健康保険に入る、健康保険の任意継続を選ぶ、家族の被扶養者になる、新しい勤務先の健康保険に入る、のいずれかになります。任意継続は申出が20日以内と短く、国民健康保険の届出は14日以内なので、先に比べる時間はあまりありません。保険料の比べ方は退職金と国民健康保険料、国民年金は退職後の国民年金への切替手続きで確認できます。
1か月以内:源泉徴収票
見方は退職所得の源泉徴収票の見方にあります。
6か月以内:企業型DC
期限を過ぎたときの自動移換と手数料、移換先の選び方は企業型確定拠出年金を退職・転職したあとの手続きにあります。
離職の翌日から1年:失業手当の受給期間
雇用保険法第20条は、受給期間を基準日(離職の日)の翌日から起算して1年と定めています。妊娠、出産、育児などで30日以上働けない場合は、厚生労働省令で定めるところによりハローワークへ申し出ると、働けない日数が加算されます(加算後の上限は4年)。定年などの理由で離職した人が、求職の申込みを一定期間しないことを希望して申し出る場合も、受給期間が延びる規定があります(同条第2項、上限1年)。申出の期限や必要書類は、住所地のハローワークで確認してください。
翌年2月16日〜3月15日:確定申告
申告書を出した人は、原則として退職金の確定申告は不要です。医療費控除などで確定申告をするときは、退職所得の金額も書きます。退職金を受け取った年の医療費控除、退職金を受け取った年に影響する制度の一覧も参照してください。
年齢の分かれ道(60歳・65歳・70歳)で変わる手続き
上の期限は年齢にかかわらず同じように見えますが、法律上、60歳・65歳・70歳を境に手続きの中身が変わるものがあります。条文で確認できたものだけを並べます。
| 年齢 | 変わること | 根拠 |
|---|---|---|
| 60歳 | 国民年金の第1号被保険者になるのは20歳以上60歳未満の人です。60歳以上の人は、この区分の被保険者には当たりません。国民年金の切替手続きが要るかどうかは、年金事務所で確かめてください。 | 国民年金法第7条 |
| 65歳 | 65歳以上の雇用保険の被保険者が失業したときは、基本手当ではなく高年齢求職者給付金が一時金で支給されます。額は基本手当日額の50日分(算定基礎期間が1年以上)または30日分(1年未満)です。 | 雇用保険法第37条の2・第37条の4 |
| 70歳 | 厚生年金保険の被保険者は70歳未満の人です。70歳以上の人は、適用事業所で働いていてもこの規定の被保険者にはなりません。 | 厚生年金保険法第9条 |
高年齢求職者給付金は、離職の日の翌日から1年を経過する日までに、ハローワークへ出向いて求職の申込みと失業の認定を受ける必要があります(第37条の4第5項)。基本手当より早い期限の感覚で動くと間に合わなくなるため、離職票を受け取ったら早めに確認します。失業手当の仕組みは失業手当はいつ・いくらにあります。
60歳以上で受け取れる年金や給付金には、ここに挙げたほかにも制度があります。退職金との関係は退職金を受け取った年に影響する制度の一覧で確認し、個別の取扱いは年金事務所とハローワークで確かめてください。
順番に確かめたいとき
期限ではなく手順の順に確かめたい場合は、退職金の受取前後の手続きチェックリストを使えます。退職日の選び方による社会保険料と住民税の違いは退職日の選び方と社会保険料・住民税にあります。
よくある質問
退職後、いちばん早い手続きの期限はいつですか。
本人の手続きでは、国民年金と国民健康保険の加入が退職日の翌日から14日以内です。会社が行う雇用保険の資格喪失届は、退職の翌日から10日以内です。退職金を受け取る前に会社へ出す「退職所得の受給に関する申告書」は、退職金を受け取る時までです。
健康保険の任意継続は、いつまでに申し出ますか。
健康保険法第37条は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内と定めています。退職日の翌日が資格喪失日(同法第36条)なので、その日から数えます。保険者が正当な理由を認めた場合は、期間を過ぎた申出を受理できる規定もあります。
失業手当は、いつまでに申請すればよいですか。
基本手当は、離職の日の翌日から原則1年の間の失業している日について、所定給付日数を限度に支給されます(雇用保険法第20条)。所定給付日数が長い人は、1年のうちに受け終えられないことがあるため、離職票を受け取ったら早めにハローワークへ行きます。
企業型DCの資産は、いつまでに移しますか。
加入資格を失ってから6か月以内です。厚生労働省の資料では、6か月以内に移換や脱退一時金の請求をしなかった場合、資産は国民年金基金連合会に自動で移されると案内されています。
退職金の確定申告はいつまでにしますか。
国税庁によると、確定申告の期間は原則としてその年の翌年2月16日から3月15日です。退職所得の受給に関する申告書を出した人は、原則として退職金の確定申告は不要です。出していない人は、20.42%の源泉徴収を確定申告で精算します。
出典
- e-Gov法令検索「健康保険法」第36条・第37条、「雇用保険法」第20条・第37条の2・第37条の4、「国民年金法」第7条、「厚生年金保険法」第9条、「雇用保険法施行規則」第7条、「国民健康保険法施行規則」第2条(laws.e-gov.go.jp)
- 国税庁タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(nta.go.jp)
- 国税庁タックスアンサー No.2020「確定申告」(nta.go.jp)
- 日本年金機構「国民年金第1号資格取得の手続き」(nenkin.go.jp)