定年退職後の失業手当の受給期間の延長(最長1年)

定年退職のあと、しばらく休養してから失業手当(基本手当)を受けたい場合に使える受給期間の延長(最長1年)の対象、申出の期限、すぐ受ける場合との違いを、雇用保険法・施行規則とハローワーク・日本年金機構の資料で整理します。

定年退職後はしばらく休むと、失業手当を受けられない

ハローワークの「基本手当について」では、「定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき」は基本手当を受けることができない状態の例に挙げられています(確認日2026-10-12)。基本手当は、すぐに働ける状態で求職活動をしているときに受けるものだからです。

基本手当を受けられる期間(受給期間)は、原則として離職の日の翌日から1年間です。休養しているうちにこの1年が過ぎると、所定給付日数が残っていても受けられなくなります。この問題を避けるために、定年などで退職した人は、受給期間を最長1年延長する申出ができます。

延長の対象と期間(雇用保険法第20条第2項・施行規則第31条の2)

雇用保険法第20条第2項は、離職が「定年(厚生労働省令で定める年齢以上の定年に限る)に達したことその他厚生労働省令で定める理由」によるもので、離職後一定の期間は求職の申込みをしないことを希望する人が、公共職業安定所長(ハローワーク)に申し出たときに、受給期間に「求職の申込みをしないことを希望する一定の期間(1年を限度とする)」を加える、と定めています。

施行規則第31条の2は、この年齢を60歳、理由を「60歳以上の定年に達した後、再雇用等により一定期限まで引き続き雇用されることとなっている場合に、その期限が到来したこと」と定めています。つまり、次のどちらかが対象です。

延長される期間は、求職の申込みをしないと希望した期間で、1年が上限です。希望した期間の途中で求職の申込みをしたときは、離職の日の翌日から求職の申込みをした日の前日までの期間が、受給期間に加わります。

申出の期限と手続き(施行規則第31条の3)

項目内容
期限離職の日の翌日から起算して2か月以内(天災その他やむを得ない理由があるときは例外)
提出先管轄のハローワーク
提出する書類受給期間延長等申請書に離職票を添える(離職票が2枚以上あるときは全部)
認められたとき受給期間延長等通知書が交付され、離職票に必要事項が記載されて返される

期限は「離職の日の翌日から2か月」で、病気やけがで働けない場合の延長(働けなくなった日の翌日以降、延長後の受給期間の最後の日まで)とは別の数え方です。2か月を過ぎるとやむを得ない理由がない限り申出ができないため、退職したらすぐに離職票の到着を確認してください。離職票の見方は離職票-2の離職理由欄の見方と異議の書き方で確認できます。

すぐ受ける場合と、延長して後で受ける場合の違い

比べる点すぐ受ける延長して後で受ける
受給期間離職の日の翌日から原則1年原則1年に、求職の申込みをしない期間(最長1年)を加えた期間
手続き求職の申込みと受給資格の決定先に延長の申出(離職の翌日から2か月以内)、後で求職の申込み
所定給付日数離職の日の年齢、被保険者であった期間、離職の理由で決まる。一般の離職者は被保険者であった期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日(雇用保険法第22条第1項)
65歳前の老齢年金特別支給の老齢厚生年金などは、求職の申込みをした月の翌月から、受給期間が過ぎた月(または所定給付日数を受け終えた月)まで全額が支給停止になる(日本年金機構)

日本年金機構の案内では、年金の支給停止は求職の申込みをした月の翌月から始まります。延長を申し出ると求職の申込みの時期を遅らせられるため、年金の停止が始まる時期にも関わります。年金額がどう変わるかは年金の種類と加入記録で異なるので、年金事務所で確認してください。在職しながら受ける年金は在職老齢年金の支給停止調整額で確認できます。

離職の日に65歳以上の場合は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になります。65歳以降の区切りは退職手続き期限一覧で確認できます。

病気・けがなどで働けない場合の延長との違い

受給期間の延長には、定年退職者向けのもののほかに、病気・けが・妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けないときの延長(最長3年)があります。理由・期限・最長期間が異なります。病気やけがで退職したときの延長は病気・ケガで退職したときの失業手当と傷病手当金で確認できます。

失業手当の目安を確かめる

離職理由の区分ごとの給付制限・所定給付日数・入金時期は失業手当はいつ・いくらで確認できます。定年後に再雇用で働く場合の退職金の所得区分は定年後の再雇用と打切り支給、退職金の手取りは手取り計算で試算できます。

雇用保険法・同施行規則(e-Gov法令検索)、ハローワークインターネットサービス、日本年金機構の公開資料(2026-10-12確認)にもとづく一般的な説明です。個別の対象可否・申出の可否は、ハローワークの窓口へ確認してください。

よくある質問

定年退職したら、失業手当の受給期間を延長できますか。

60歳以上の定年に達して離職した場合などは、受給期間を延長する申出ができます。雇用保険法第20条第2項と施行規則第31条の2が、対象を60歳以上の定年に達したことなどと定めています。個別に対象になるかは、ハローワークで確認してください。

延長できるのはどれくらいですか。

求職の申込みをしないと希望する期間で、上限は1年です。原則1年の受給期間にこの期間を加えます。希望した期間の途中で求職の申込みをしたときは、離職の日の翌日から申込みの前日までの期間が加わります。

延長の申出はいつまでにしますか。

離職の日の翌日から2か月以内に、管轄のハローワークへ受給期間延長等申請書と離職票を提出します。天災その他やむを得ない理由があるときは例外が認められます(施行規則第31条の3)。

定年退職後、休んでいる間に失業手当をもらえますか。

もらえません。ハローワークの説明では、定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているときは基本手当を受けられないとされています。休養してから受けたい場合は、受給期間の延長を申し出る流れです。

延長すると、年金はどうなりますか。

日本年金機構の案内では、特別支給の老齢厚生年金などの65歳になるまでの年金は、求職の申込みをした月の翌月から受給期間が過ぎた月(または所定給付日数を受け終えた月)まで、全額が支給停止されます。具体的な影響額は年金事務所で確認してください。

出典