死亡退職金の相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)

本人が亡くなって遺族が受け取る退職手当金等は、退職所得ではなく相続税の対象です。非課税枠と、生前に退職する場合との違いを、国税庁の資料で整理します。

結論:遺族が受け取る退職金は相続税の対象で、500万円×法定相続人の数まで非課税

国税庁のタックスアンサーNo.4117では、本人の死亡で支給される退職手当金、功労金などで、死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続または遺贈で取得したものとみなされ、相続税の課税対象になります(確認日 2026-10-12)。すべての相続人が受け取った合計が「500万円×法定相続人の数」以下なら課税されません。本人が生前に受け取る退職金に使う退職所得控除や2分の1計算は、この場合には使いません。

生前に退職する場合と死亡退職の比較表

項目本人が生前に退職して受け取る本人の死亡で遺族が受け取る
かかる税金所得税・住民税(退職所得)相続税(所得税はかからない)
非課税・控除の仕組み退職所得控除額と2分の1計算500万円×法定相続人の数の非課税限度額
受け取る人退職した本人遺族(相続人以外が受け取ることもある)
対象になる期間退職した年の収入として計算死亡後3年以内に支給が確定したもの
会社から出る書類退職所得の源泉徴収票相続税法の退職手当金等受給者別支払調書
詳しいページ源泉徴収票の見方・退職所得控除の早見表このページ

支払調書の名称は、退職所得の源泉徴収票のページで確認した国税庁の手引に基づきます。

相続税の対象になる退職手当金等

非課税限度額の計算

非課税限度額は、500万円×法定相続人の数です。次の点に注意します。

計算例(国税庁の具体例)

国税庁の具体例は、配偶者Aが2,000万円、長男Bが1,000万円、長女Cが500万円(相続放棄)を受け取り、合計が3,500万円、法定相続人が3人のケースです。

受取人受取額非課税金額課税価格に入る額
A(配偶者)2,000万円1,000万円1,000万円
B(長男)1,000万円500万円500万円
C(長女、相続放棄)500万円0円500万円

非課税限度額は500万円×3人=1,500万円です。各人の非課税金額は、1,500万円に「その人の受取額÷相続人が受け取った合計額(AとBの3,000万円)」をかけて出します。Aは1,500万円×(2,000万円÷3,000万円)=1,000万円、Bは500万円です。Cは相続を放棄しているため非課税金額がありません。国税庁は、この計算に相続税申告書の第10表「退職手当金などの明細書」を使うと分かりやすいとしています。

確認と相談

相続税の申告が必要かどうかや、他の財産を含めた税額は、遺産の全体で決まります。このページでは退職手当金等の部分だけを扱います。個別の判断は税務署または税理士に確認してください。生前に退職して受け取る場合の手取りは手取り計算で試算できます。

よくある質問

死亡退職金に所得税はかかりますか。

相続税の対象になる死亡退職金には、所得税はかかりません。所得税法第9条第1項第17号が、相続や遺贈で取得したもの(相続税法でみなされるものを含む)を所得税の非課税としています。

非課税になる金額はいくらですか。

相続人が受け取った退職手当金等の合計が、500万円×法定相続人の数以下なら課税されません。たとえば法定相続人が3人なら1,500万円です。相続人以外の人が受け取った分には、この非課税は使えません。

相続放棄をした人は、法定相続人の数に入りますか。

非課税限度額の計算では、放棄がなかったものとした場合の人数で数えます。ただし、放棄をした人自身が受け取った退職手当金等には、非課税の適用はありません。

本人の死亡後、いつまでに支給が決まれば相続税の対象になりますか。

死亡後3年以内に支給が確定したものが対象です。死亡退職の場合と、生前に退職していて死亡後に支給額が確定した場合の、どちらも含まれます。

国税庁 タックスアンサーNo.4117・No.4108と所得税法第9条を2026-10-12に確認して作成しています。このページは一般的な制度の説明で、個別の税務判断ではありません。個別の事案は税務署または税理士に確認してください。

出典