この票は何のために作られるか
退職所得の源泉徴収票・特別徴収票は、退職金を支払った会社などが、受け取った人(受給者)に渡すほか、国などへ提出する書類です。源泉徴収は、支払う側が先に税金を差し引いて国へ納める仕組みで、特別徴収は、住民税を同じように差し引いて自治体へ納める仕組みです。
国税庁の手引(令和8年版)によると、令和8年分以降は、支払が確定した退職手当等のすべてについて、この票を提出することになりました。これまでは法人の役員に支払う退職手当等だけが対象でした。なお、死亡退職の場合は、この票ではなく相続税法の「退職手当金等受給者別支払調書」が使われます。
欄ごとの意味
受給者に届く票で、お金に関わる欄は次の5つです。
| 欄 | 書かれること | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| 支払金額 | その年に支払が確定した退職手当等の金額 | 税金を引く前の金額です。まだ払われていない分があるときは、その額が内書き(内訳として別に書く)されます。 |
| 源泉徴収税額 | その年に源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税の合計額 | 所得税と復興特別所得税は別々には書かれず、合計で1つの欄に入ります。 |
| 特別徴収税額 | その年に特別徴収すべき地方税の額 | 住民税にあたる金額です。 |
| 退職所得控除額 | 源泉徴収税額の計算で控除した金額 | 自分の勤続年数から計算した額と合っているか、退職所得控除額の早見表で確かめられます。 |
| 勤続年数 | 源泉徴収税額の計算のもとになった勤続年数 | 1年未満の端数があるときは、1年として数えます。 |
受給者に渡す票には、マイナンバーは書かれません。
区分の上段・中段・下段の違い
区分の欄は、支払者に出した「退職所得の受給に関する申告書」の状況によって、どの段に印が付くかが決まります。申告書の書き方は退職所得の受給に関する申告書のページで説明しています。
| 段 | 当てはまる場合 |
|---|---|
| 上段 | 申告書に、その年に受けた他の退職手当等は無いと書いてある |
| 中段 | 申告書に、その年に受けた他の退職手当等があると書いてある |
| 下段 | 申告書が出されなかったため、100分の20.42の税率で所得税と復興特別所得税を源泉徴収した |
下段になっている場合の精算方法や確定申告の要否は、個別の事情で変わるため、税務署や税理士に確認してください。
番号の欄
番号の欄は、退職手当等が特定の区分にあたるときだけ書かれます。会社の退職金そのものであれば、通常は空欄です。ただし、株式やストックオプションに関する番号(3から7)もあるため、空欄かどうかだけで種類は決められません。
- 1: 所得税法31条で退職手当等とみなされる一時金(2を除く)。どんな一時金がこれにあたるかは退職所得になる一時金の一覧にまとめています。
- 2: 確定拠出年金(DC)の老齢給付金として支払われる一時金。
摘要欄に書かれること
摘要は、ほかの欄に入りきらない情報を書く欄です。次のような内容が書かれます。
- 勤続年数をどう数えたかの基礎(いつからいつまでの期間か)。
- 申告書に、その年の他の退職手当等があると書いてあったときは、その支払者の名称、支払金額、勤続年数、源泉徴収税額、特別徴収税額。
- 短期退職手当等や特定役員退職手当等が含まれるときは、その金額と勤続年数、計算の基礎。短期退職手当等は、役員等以外として勤めた期間が5年以下の人の退職手当等です。特定役員退職手当等は、役員等として勤めた期間が5年以下の人が、その期間に対応して受ける退職手当等です。くわしくは短期退職手当等の計算と特定役員退職手当等の計算で説明しています。
- 障害者になったことが原因で退職し、退職所得控除に100万円を加算した人には、「(障)」の表示。
前の退職金と勤続期間が重なっているときの調整は、退職所得控除の重複期間の調整で扱っています。
このページで扱わないこと
票の数字が正しいかどうかの個別の判定、確定申告をすべきかどうかの判断は、断定できません。支払者に記載内容を問い合わせるか、税務署または税理士に確認してください。
自分の条件で試算する
票が届く前に、手取りの目安を見たいときは手取り計算を使えます。代表的な金額の手取りは退職金の手取り早見表で引けます。
出典
- 国税庁「令和8年版 法定調書の作成と提出の手引」第3章 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票(nta.go.jp)