結論:退職金は退職所得、賞与は給与
賞与は、定期の給与とは別に支払われる給与で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当などの名目で支給されるものです(国税庁No.2523)。税金の上では給与にあたります。
退職金は、退職により勤務先から受ける退職手当などで、退職所得という別の区分です(国税庁No.1420)。同じ「まとまった金額」でも、税金の計算方法と社会保険料の扱いが分かれます。
退職金と賞与の比較
| 項目 | 賞与 | 退職金(退職手当) |
|---|---|---|
| 所得の区分 | 給与 | 退職所得 |
| 源泉徴収の方法 | 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使う。「給与所得者の扶養控除等申告書」を出していれば甲欄、出していなければ乙欄 | 「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合で、支払者の計算方法が異なる |
| 控除 | 賞与の金額から社会保険料等を差し引いた額に、算出率の表の税率をかける | 収入金額から退職所得控除額を引き、2分の1にした額が退職所得の金額 |
| 健康保険料・厚生年金保険料 | かかる。実際に支払われた賞与額(税引き前)から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に保険料率をかける | 退職時にまとめて払われる退職手当は「報酬等」に当たらない例。毎月の給与や賞与に上乗せする前払いは「報酬等」に当たる |
退職所得の計算の詳細は手取り計算、控除額の一覧は退職所得控除の早見表で確認できます。
賞与の税金と社会保険料:国税庁・日本年金機構の説明
賞与から源泉徴収する所得税は、原則として「算出率の表」で求めた税率を、賞与から社会保険料等を差し引いた金額にかけて計算します。前月の給与(社会保険料等を差し引いた金額)の10倍を超える賞与を払う場合は、別の計算方法になります(国税庁No.2523)。
社会保険料は、日本年金機構の案内では、賞与を支給すると事業主が支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を出し、これで標準賞与額が決まります。保険料は事業主と被保険者が折半で負担します。標準賞与額の上限は、健康保険で年度の累計額573万円、厚生年金保険で1か月あたり150万円です。
賞与として届け出る対象は、労働の対償として受けるもののうち年3回以下の支給のものです。年4回以上支給されるものは、賞与でなく標準報酬月額の対象になります。
退職金の税金と社会保険料
退職金は、(収入金額-退職所得控除額)×1/2が退職所得の金額です(国税庁No.1420)。退職所得控除額と2分の1計算があるため、同じ金額でも、賞与として受け取るより税金が小さくなる場合があります。ただし、個別の税額は勤続年数や他の所得で変わるため、ここでは断定しません。
社会保険料の面では、日本年金機構の事例集で、退職手当は「報酬等」に当たらない例とされています。退職金から引かれる主なものは所得税・復興特別所得税と住民税で、詳しい整理は退職金に社会保険料はかかるのかにあります。
前払い退職金は賞与と同じ扱いになる
日本年金機構の事例集には、退職手当を毎月の給与や賞与に上乗せして前払いする場合は、被保険者の通常の生計に充てられる経常収入と扱うのが妥当であり、「報酬等」に該当する、と書かれています。名称が退職金でも、支給の仕組みが給与や賞与への上乗せなら、社会保険料の面では賞与と同じ側に入ります。
退職月・退職後に支払われる賞与
日本年金機構の案内には、資格取得月に支払われた賞与は保険料賦課の対象になりますが、資格喪失月に支払われた賞与は保険料賦課の対象にならない、とあります。ただし、健康保険では、資格喪失月でも資格喪失日の前日までに支払われた賞与は標準賞与額として決定され、年度の累計額(573万円)に含まれます。
税金の面では、国税庁No.2732が、退職手当等には「退職したことに基因して支払われるすべての給与」が含まれ、本来の退職手当のほかに功労金などを支給しても退職手当等に含めるとしています。賞与という名目の支払いが、通常の賞与なのか退職に基因するものなのかは、支払いの規程や理由で分かれます。この点は断定できないため、勤務先の給与計算担当者や税務署に確認してください。
よくある質問
退職金と賞与は、税金の計算がどう違いますか。
賞与は給与として算出率の表で源泉徴収されます。退職金は退職所得で、退職所得控除と2分の1計算があります。
退職金から社会保険料は引かれますか。
退職時にまとめて払われる退職手当は、事例集で「報酬等」に当たらない例とされています。月給や賞与に上乗せして前払いされる場合は「報酬等」に当たります。
退職月に支払われた賞与にも社会保険料はかかりますか。
資格喪失月に支払われた賞与は、保険料賦課の対象になりません。資格喪失日は退職日の翌日などで決まるため、自分の場合は勤務先や年金事務所に確認してください。
退職後に支払われた賞与は、退職金として扱われますか。
名称では決まりません。退職したことに基因して支払われた給与かどうかで分かれるため、勤務先と税務署に確認してください。
出典
- 国税庁タックスアンサー No.2523「賞与に対する源泉徴収」(nta.go.jp)
- 国税庁タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(nta.go.jp)
- 国税庁タックスアンサー No.2732「退職手当等に対する源泉徴収」(nta.go.jp)
- 日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」(nenkin.go.jp)
- 日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」(nenkin.go.jp)
確認日: 2026年10月25日(国税庁No.2523・No.1420・No.2732、日本年金機構の手続き案内と事例集の原文で照合)。個別の税務判断は税理士または税務署に確認してください。