結論: 退職金の全額はNISAに一度に入れられず、預金は1金融機関で元本1,000万円までが保護の目安
退職金を受け取ったあとの置き場所に関わる公的な制度には、運用益が非課税になるNISAと、金融機関が破綻したときに預金を守る預金保険があります。どちらも金額の上限があるため、退職金の手取りが大きいほど、上限の数字を知っておく意味があります。
| 制度 | 押さえる数字 |
|---|---|
| NISA(2024年からの制度) | 年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円で、合計最大360万円。生涯の非課税保有限度額(総枠)は1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円まで |
| 預金保険 | 決済用預金は全額保護。それ以外の一般預金等は、1金融機関ごとに合算して、預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等 |
NISAの非課税枠(金融庁)
金融庁のNISA特設サイトによると、株式や投資信託などに投資して得た売却益や配当・分配金には、通常、約20%の税金がかかります。NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税になりますが、NISA口座で投資できる金額には上限があります。
- 年間投資枠: つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すると合計年間360万円まで
- 非課税保有限度額(総枠): 生涯を通じて1,800万円が上限。成長投資枠はそのうち1,200万円まで
- 総枠は簿価(取得金額)で計算する。商品を売却すると、翌年以降、売却した商品の簿価の分だけ枠が復活して再利用できる
- 非課税保有期間は無期限で、制度は恒久化されている
- 日本国内に住む18歳以上(利用する年の1月1日時点)なら開設できる。銀行や証券会社などで、NISA口座を開設する
金融庁は、売却した場合に損益がなくなるわけではないとも説明しています。このページは、商品の良し悪しや、投資をするかどうかの判断は扱いません。
退職金を一度に入れられるか(上限から計算した例)
年間投資枠が合計360万円なので、退職金の手取りが1,800万円以上あっても、1年に入れられるのは最大360万円です。総枠の1,800万円まで使い切るには、毎年、つみたて投資枠を120万円、成長投資枠を240万円ずつ使うと、1,800万円÷360万円で最短5年かかります(つみたて投資枠は5年で600万円、成長投資枠は5年で1,200万円で、成長投資枠の上限1,200万円にちょうど収まります)。これは上限の計算で、実際にどれだけ使うかは自分で決めます。
預金保険の保護範囲(預金保険機構)
預金保険機構によると、預金保険の対象は、日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などです。預金の種類によって、保護される範囲が違います。
| 預金の分類 | 例 | 保護の範囲 |
|---|---|---|
| 決済用預金 | 当座預金、利息のつかない普通預金など | 全額保護 |
| 一般預金等 | 利息のつく普通預金、定期預金、通知預金、貯蓄預金など | 1金融機関ごとに合算(名寄せ)して、預金者1人あたり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等 |
| 預金保険の対象外 | 外貨預金、譲渡性預金など | 保護されない |
決済用預金の要件は、利息がつかない、預金者がいつでも払戻しを請求できる、決済サービスを提供できる、の3つです。一般預金等で元本1,000万円を超える部分と、外貨預金など対象外の預金は、破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われるため、一部カットされることがあるとされています。
たとえば、退職金の手取り2,000万円を、同じ銀行の定期預金に預けた場合、保護されるのは元本1,000万円までと破綻日までの利息等で、残りの1,000万円は財産の状況に応じた支払いになります。同じ金融機関の中で口座を分けても、預金者1人あたりで合算されるため、保護の上限は変わりません。
このページで扱わないこと
個別の金融商品、金融機関の選び方、NISAで何を買うか、iDeCoなど他の制度との比較、運用による税金の細かい計算は扱いません。制度の数字は改正されることがあるため、利用前に金融庁と預金保険機構のページ、または利用する金融機関で現在の内容を確認してください。
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よくある質問
NISAで投資できる金額の上限は、いくらですか。
年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計で最大360万円です。生涯の非課税保有限度額(総枠)は1,800万円で、成長投資枠はそのうち1,200万円までです。
退職金を、NISAに一度に全額入れられますか。
年間投資枠が合計360万円なので、1年に入れられるのは最大360万円です。総枠の1,800万円まで使うには、最短でも5年かかります。
NISAで売却すると、非課税枠はどうなりますか。
売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ、翌年以降に非課税投資枠が復活して再利用できます。
預金保険で、預金はいくらまで保護されますか。
決済用預金は全額保護です。それ以外の一般預金等は、1金融機関ごとに合算して、預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
外貨預金は、預金保険で保護されますか。
外貨預金は預金保険の対象外です。破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われるため、一部カットされることがあります。
出典
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」(www.fsa.go.jp)。確認日2026-10-17
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「2024年から新しいNISAがスタート」(www.fsa.go.jp)。確認日2026-10-17
- 預金保険機構「保護の範囲」(www.dic.go.jp)。確認日2026-10-17
- 預金保険機構「対象預金」(www.dic.go.jp)。確認日2026-10-17
- 預金保険機構「対象金融機関」(www.dic.go.jp)。確認日2026-10-17