広域求職活動費と移転費の違い(就職促進給付)
雇用保険法第10条は、就職促進給付として就業促進手当、移転費、求職活動支援費を挙げています。このページで扱うのは、求職活動支援費のうちの広域求職活動費(第59条第1項第1号)と、移転費(第58条)です。再就職手当などの就業促進手当は再就職手当のページで整理しています。
| 項目 | 広域求職活動費 | 移転費 |
|---|---|---|
| 使う場面 | ハローワークの紹介による、広範囲の地域にわたる求職活動(遠方の事業所の訪問) | ハローワーク・特定地方公共団体・職業紹介事業者の紹介した職業に就くため、またはハローワーク所長の指示した公共職業訓練等を受けるための、住所・居所の変更 |
| 費用の種類 | 鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・宿泊料 | 鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・移転料・着後手当 |
| 申請の期限 | ハローワークの指示による広域求職活動を終了した日の翌日から10日以内 | 移転の日の翌日から1か月以内 |
| 根拠の条文 | 雇用保険法第59条、施行規則第96条〜第100条 | 雇用保険法第58条、施行規則第86条〜第95条 |
どちらも、受給資格者などが事前の相談なしに自分で動いた費用が自動的に出る制度ではありません。法律上、ハローワーク所長が厚生労働大臣の定める基準に従って必要があると認めたときに支給されます。
広域求職活動費の支給条件
施行規則第96条は、ハローワークの紹介による広域求職活動で、次の両方に当てはまる場合に支給するとしています。
- 待期や給付制限などの法に定める期間が経過した後に、広域求職活動を始めたこと。
- 訪問先の事業所の事業主から、求職活動の費用が支給されないか、支給額が広域求職活動費の額に満たないこと。
第96条の2は、回数の上限も定めています。受給資格者は、所定給付日数を30で割った日数(端数は切り上げ)に相当する回数の支給を受けた後の広域求職活動には支給されません。高年齢受給資格者と特例受給資格者は、3回の支給を受けた後の活動には支給されません。
広域求職活動費の計算
第97条・第98条によると、広域求職活動費の内容と計算は次のとおりです。
| 費用 | 計算の考え方 |
|---|---|
| 鉄道賃・船賃・航空賃・車賃 | 移転費と同じく、施行規則第88条第1項から第4項に準じて計算。管轄のハローワークの所在地から、訪問先の事業所を管轄するハローワークの所在地までの順路で計算する |
| 宿泊料 | 8,700円(東京23区と、大阪市・名古屋市・横浜市・京都市・神戸市のうち特定の地域手当の級地、およびそれ以外の指定都市のうち特定の級地に当たる地域のハローワーク管轄の場合)または7,800円(それ以外の地域)に、距離に応じた宿泊数を掛けた額。鉄道賃の計算の基礎となる距離が400km未満のときは支給されない |
船賃または車賃の支給を受ける場合、宿泊料の距離の判定では、その距離の4倍を鉄道賃の距離に含めます(第98条第3項)。距離ごとの宿泊数の表は、施行規則第98条第2項を確認してください。訪問先の事業主から費用が出る場合、その額が上の計算額に満たなければ差額が支給されます(第98条の2)。
広域求職活動費の申請の順番
- ハローワークで、遠方の事業所の紹介を受ける。
- ハローワークの指示による広域求職活動を行う。
- 活動を終了した日の翌日から10日以内に、受給資格者証などを添えて、求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書を管轄のハローワークへ出す(第99条第1項)。
- ハローワークから、広域求職活動を行ったことを証明する書類などの提出を求められることがある(第99条第2項)。
- 訪問先の事業主から求職活動の費用を受けるときは、その金額を届け出る(第99条第3項)。
移転費の支給条件
施行規則第86条は、ハローワークなどの紹介した職業に就くため、または公共職業訓練等を受けるために住所・居所を変更する場合で、次の両方に当てはまるときに支給するとしています。ただし、雇用期間が1年未満であるなど特別の事情があるときは例外です。
- 待期や給付制限などの法に定める期間が経過した後に就職し、または公共職業訓練等を受けることになった場合で、管轄のハローワーク所長が住所・居所の変更を必要と認めたこと。
- 就職準備金などの就職支度費が、就職先の事業主や訓練施設の長などから支給されないか、支給額が移転費の額に満たないこと。
移転費の額は、本人と、本人に生計を維持されている同居の親族の移転に通常要する費用を考慮して、厚生労働省令で定められます(雇用保険法第58条第2項)。種類は鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・移転料・着後手当で、着後手当以外は旧居住地から新居住地までの順路で支給されます(施行規則第87条)。移転料と着後手当の具体的な金額は、このページでは確認していません。ハローワークで確認してください。
移転費の申請の順番と返還
- ハローワークの紹介で就職先または訓練先が決まり、転居が必要になる。
- 管轄のハローワークで、移転費の対象になるかを確認する。
- 移転の日の翌日から1か月以内に、受給資格者証などを添えて移転費支給申請書(様式第30号)を提出する。親族を同行するときは、生計を維持されている者であることを証明する書類も添える(第92条第1項)。
- 就職先の事業主から就職支度費を受ける、または就職先の自動車などを使って転居するときは、その額や実費相当額を届け出る(第92条第2項)。
移転費の支給を受けた後に、紹介された職業に就かなかったとき、または指示された公共職業訓練等を受けなかったときは、その事実が確定した日の翌日から10日以内に届け出て、支給された移転費に相当する額を返還します(第95条)。
失業手当・再就職手当との関係
広域求職活動費と移転費は、基本手当とは別の給付です。基本手当の日額や給付日数は失業手当はいつ・いくらで試算できます。就職が決まった後の再就職手当は再就職手当、退職後の届出全体は退職後の手続きチェックリスト、公共職業訓練を受ける間の手当は公共職業訓練の受講手当・寄宿手当と訓練延長給付で整理しています。
失業認定で認められる求職活動の種類・回数は、求職活動の種類・回数と実績の書き方で整理しています。職業訓練を受ける間の手当は職業訓練中の受講手当・通所手当と訓練延長給付を確認してください。
よくある質問
失業手当をもらいながら遠方の会社の面接を受けると、交通費は出ますか。
ハローワークの紹介による広域求職活動で、法に定める期間の経過後に始め、訪問先の事業主から費用が出ないか足りない場合に、広域求職活動費が支給されます(施行規則第96条)。鉄道賃などと宿泊料が対象ですが、宿泊料は鉄道賃の計算の基礎となる距離が400km未満だと支給されません。
広域求職活動費は何回までもらえますか。
受給資格者は、所定給付日数を30で割った日数(端数は切り上げ)に相当する回数までです。高年齢受給資格者と特例受給資格者は3回までです(施行規則第96条の2)。
移転費はいつまでに申請しますか。
移転の日の翌日から1か月以内に、移転費支給申請書を管轄のハローワークへ提出します(施行規則第92条第1項)。広域求職活動費は、広域求職活動を終了した日の翌日から10日以内です。
移転費をもらった後に就職しなかった場合はどうなりますか。
紹介された職業に就かなかったときや、指示された公共職業訓練等を受けなかったときは、その事実が確定した日の翌日から10日以内に届け出て、支給された移転費に相当する額を返還します(施行規則第95条)。
出典
- e-Gov法令検索 雇用保険法 第10条・第58条・第59条(laws.e-gov.go.jp)
- e-Gov法令検索 雇用保険法施行規則 第86条〜第100条(laws.e-gov.go.jp)