退職時のストックオプション・自社株の所得区分

退職時に行使するストックオプションの利益や、自社株を売った利益は、退職金(退職所得)とは別の所得区分です。どの区分になるかを国税庁の資料で整理します。

結論: 退職金とは別の所得として計算される

退職所得は、退職により勤務先から受ける退職手当などが対象です(国税庁No.1420)。ストックオプションの行使で得た利益や、自社株を売った利益は、国税庁のタックスアンサーでは別の所得区分で説明されており、退職所得控除額は使えません。

場面所得区分根拠
税制非適格ストック・オプションを行使したとき(雇用契約などに基づいて与えられた権利)給与所得国税庁No.1543
同上で、職務の遂行と関連しない利益と認められるとき(退職後の行使で一定の要件に当たる場合など)雑所得国税庁No.1543
行使して取得した株式を売ったとき(税制非適格)譲渡所得国税庁No.1543
税制適格ストック・オプションで取得した株式を売ったとき申告分離課税の対象(株式等に係る譲渡所得等)国税庁No.1540
自社株(持株会などで持つ株式を含む)を売ったとき株式等に係る譲渡所得等(申告分離課税、税率20%)国税庁No.1463

ストックオプションを退職後に行使したとき

ストックオプションは、会社が従業員などに、自社株を決められた価格(権利行使価格)で買える権利を与える仕組みです。税制適格のものと税制非適格のものがあります(国税庁No.1543)。

税制非適格の場合、権利を行使したときと株式を売ったときの2回で課税されます。行使時の利益は「(権利行使時株価-権利行使価格)×株式数」で、雇用契約などに基づいて権利が与えられた場合は給与所得になります。ただし、次の両方に当たる退職後の行使などは、職務の遂行と関連しない利益として雑所得になるとされています。

行使して取得した株式を売ったときは、「(売却価格-権利行使時株価)×株式数」が譲渡所得になります。

税制適格の場合は、行使時の利益への課税が繰り延べられ、株式を売ったときに、その利益と値上がり益を合わせて申告分離課税の対象になります。この株式の取得価額は権利行使価額で、特定口座・NISAは使えません(国税庁No.1540)。

持株会などの自社株を売ったとき

株式等を売った利益は、「総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)」で計算し、ほかの所得と分けて税額を出す申告分離課税になります。税率は上場株式等も一般株式等も20%(所得税15%、住民税5%)で、このほかに復興特別所得税が加わります(国税庁No.1463)。

株式を売った利益は退職金とは別に計算されるため、退職金の手取りを試算するときは、株式の売却分を足さず別に考える必要があります。持株会の規約による払戻しの方法(株式で受け取るか、売却して現金で受け取るか)で課税の流れが変わりうるため、持株会の規約と税務署で確認してください。

社内預金は区分を示せない

社内預金の退職時の払戻しや利息について、所得区分を示した国税庁の一次資料はこのページの作成時に確認できていません。預貯金の利子は利子所得とされています(国税庁No.1310)が、社内預金に同じ扱いが当てはまるかは確認できていないため、勤務先と税務署へ確認してください。

このページで扱わないこと

個別のストックオプションが税制適格か、退職後の行使が雑所得に当たるかの判定、持株会の払戻しの課税関係、確定申告の要否は、断定できません。特定役員退職手当等の該当性を含め、税理士または税務署へ確認してください。

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よくある質問

退職後にストックオプションを行使した利益は、退職所得になりますか。

国税庁No.1543では、税制非適格ストック・オプションの権利行使時の利益は、雇用契約などに基づいて権利が与えられた場合は給与所得、職務の遂行と関連がないと認められるときなどは雑所得とされています。退職所得として説明されてはいません。

退職後の行使で雑所得になるのは、どんな場合ですか。

国税庁No.1543は、権利の付与後に短期間のうちに退職を予定されていたこと、かつ、退職後に権利を行使した時の利益の大部分が長期間にわたって生じた株式の値上がり益に相当することの両方に当たる場合を例に挙げています。当てはまるかの判断は分かれることがあるため、税理士または税務署へ確認してください。

行使して取得した株式を売ったときは、どの所得になりますか。

税制非適格ストック・オプションでは、株式の譲渡は譲渡所得として課税されます(国税庁No.1543)。税制適格の場合は、株式を譲渡した時に申告分離課税の対象となり、取得価額は権利行使価額とされます(国税庁No.1540)。

持株会などで持っていた自社株を退職時に売った利益は、退職金にあたりますか。

株式を売却した場合は、退職金とは別に、株式等の譲渡による所得として申告分離課税の対象になります。税率は上場株式等・一般株式等のどちらも20%(所得税15%、住民税5%)です(国税庁No.1463)。持株会の規約による払戻しの課税関係は規約や払戻し方法で変わりうるため、持株会と税務署へ確認してください。

社内預金は、退職時にどう課税されますか。

このページでは、社内預金の退職時の所得区分を国税庁の一次資料で確認できていないため、区分を示していません。勤務先と税務署へ確認してください。

国税庁タックスアンサーNo.1543・No.1540・No.1463・No.1310・No.1420(令和8年4月1日現在法令等)にもとづく一般的な説明です(確認日: 2026-10-14)。個別の判定は断定できないため、税理士または税務署へ確認してください。

出典