退職金は医療費の窓口負担・高額療養費・介護保険料に影響するか

退職金(退職所得)が、医療費の窓口負担割合、高額療養費の所得区分、介護保険料の算定に入るかを、政令・法律の条文と公式案内で確認して整理します。

結論:窓口負担の課税所得には入らず、合計所得金額を使う判定には入る

項目退職所得の扱い根拠
介護保険料(所得段階)合計所得金額に退職所得金額が加算される地方税法第292条第1項第13号、介護保険法施行令第39条、江東区の案内
国保の所得割・旧ただし書き所得総所得金額等に含めない(川崎市の案内)川崎市の国民健康保険料の案内
75歳以上の窓口負担(課税所得28万円・145万円の判定)退職所得は算定式に挙がっておらず、入らない高齢者医療確保法施行令第7条第1項・第2項・第4項
75歳以上の窓口負担(2割の「年金収入+その他の合計所得金額」200万円・320万円の判定)合計所得金額に退職所得金額が入る同施行令第7条第3項、地方税法第292条第1項第13号
協会けんぽ等の高額療養費区分は標準報酬月額。報酬から臨時に受けるものは除かれる協会けんぽの高額療養費の案内、健康保険法第3条第5項

医療費の窓口負担割合(75歳以上の1割・2割・3割)

75歳以上の後期高齢者医療では、窓口負担は1割・2割・3割です。東京都の案内によると、割合は前年の住民税課税所得などで決まり、毎年8月1日に見直されます。3割は同じ世帯の被保険者に住民税課税所得145万円以上の方がいる場合、2割は課税所得28万円以上145万円未満の方がいて、年金収入とその他の合計所得金額が一定額(被保険者1人で200万円以上、2人以上で合計320万円以上)以上の場合です。

この2割・3割の判定は、2つに分かれます。

2割になるのは、課税所得28万円以上で、かつ上の合計額が基準以上の場合です。退職金を受け取った年の翌年度は、退職所得金額の分だけ合計額が増えるため、年金収入が多い方では基準を超えて2割に変わる場合があります。退職所得金額は、退職金から退職所得控除額を引いて2分の1にした額(勤続5年以下の短期退職手当等などは扱いが異なります)で、退職金の額そのものではありません。計算は手取り計算で確認できます。個別の判定は加入先の後期高齢者医療広域連合か市区町村が行うため、通知された負担割合を確認してください。退職後の健康保険の選び方は退職後の健康保険の比べ方で確認できます。

高額療養費の所得区分

厚生労働省の資料では、70歳未満の自己負担限度額は、健康保険は標準報酬月額、国民健康保険は旧ただし書き所得で区分されています(旧ただし書き所得210万円以下、210万〜600万円、600万〜901万円、901万円超など)。川崎市の案内は、国民健康保険料の算定に使う総所得金額等に退職所得を含めないと書いています。同じ考え方は退職金は国民健康保険料の算定に入るかで、新宿区・大阪市・横浜市の案内とあわせて確認できます。

協会けんぽの案内では、70歳未満の自己負担限度額は標準報酬月額で区分されます。健康保険法第3条第5項は、報酬を「労働の対償として受けるすべてのもの」とし、臨時に受けるものと3か月を超える期間ごとに受けるものを除いています。退職金がどちらに当たるかまでは条文だけでは決まらないため、勤め先の健康保険組合か協会けんぽの支部に確認してください。

高額療養費の制度と退職後の使い方は退職後の高額療養費の使い方を参照してください。

介護保険料(65歳以上の第1号保険料)

江東区の案内によると、介護保険料の段階は「合計所得金額」で区分され、合計所得金額は総所得金額に申告分離課税の所得金額、山林所得金額、退職所得金額を加えた額です。そのため、退職金を受け取った年の所得は、保険料の段階に反映される場合があります。保険料の金額や段階の数は市区町村ごとに異なるため、住んでいる市区町村の案内で確認してください。

退職金にかかる社会保険料の全体像は退職金にかかる社会保険料で説明しています。

公式案内にもとづく一般的な説明です。個別の保険料や負担割合の判定は、加入している保険者(市区町村・広域連合・健康保険組合)が決めます。確認日2026-10-16。

よくある質問

退職金を受け取ると、翌年の医療費の窓口負担割合は上がりますか。

75歳以上の窓口負担(1割・2割・3割)は、前年の住民税課税所得などで毎年8月1日に見直されます。政令の算定式に退職所得は挙がっておらず、課税所得の判定には入りません。一方、2割の判定に使う「年金収入とその他の合計所得金額」の合計には、退職所得金額が入ります。個別の判定は、加入先の後期高齢者医療広域連合か市区町村の窓口で確認してください。

退職金は、国民健康保険の高額療養費の所得区分に入りますか。

国保の高額療養費の区分は旧ただし書き所得で決まります。川崎市の公式案内は、国民健康保険料の算定に使う総所得金額等に退職所得を含めないとしています。区分の判定方法は自治体で異なる場合があるため、加入先の市区町村に確認してください。

退職金は、介護保険料の算定に入りますか。

江東区の公式案内では、介護保険料の段階を決める「合計所得金額」に退職所得金額が加算されると説明されています。保険料は市区町村ごとに決まるため、金額や段階は住んでいる市区町村の案内で確認してください。

協会けんぽの高額療養費の区分は、退職金で変わりますか。

厚生労働省の資料では、健康保険の70歳未満の自己負担限度額は標準報酬月額で区分されています。健康保険法は、報酬から臨時に受けるものを除いています。退職金の個別の扱いは条文だけでは決まらないため、協会けんぽの支部か勤め先の健康保険組合に確認してください。

出典