所得割に使う「総所得金額等」に含まれる所得と退職所得の扱い
国民健康保険料は、所得に応じて決まる部分(所得割)があります。この計算に使う「総所得金額等」について、確認した3つの市区は、いずれも退職所得を含まないと案内しています。
| 自治体 | 公式案内の内容 |
|---|---|
| 新宿区 | 総所得金額等には、事業・不動産・利子・給与・総合課税の配当・総合譲渡・雑所得・一時所得と、分離課税の一部の所得が入る。注意事項として「退職所得は、総所得金額等には含みません」と明記 |
| 大阪市 | 所得割の計算には年金・給与・事業所得などと、分離課税の株式・土地等の所得などを使う。「退職所得は、『総所得金額等』に含みません」と明記 |
| 横浜市 | 総所得金額等(地方税法第314条の2第1項などで規定)は、利子・配当・不動産・事業・給与などの所得金額の合計で、「退職所得は含みません」と明記 |
したがって、退職金を一時金で受け取ったことだけで、所得割の部分が大きくなるわけではありません。ただし、保険料の決め方は自治体ごとに異なる部分があります。ここで確認したのは上の3つの市区だけなので、お住まいの市区町村の案内を確認してください。
退職後に請求が重く感じやすい理由(総務省の相談事例)
総務省の公表資料(地方紙掲載の相談事例)は、退職後に住民税や医療保険料、年金保険料の請求が相次ぎ、支払いに困る相談を取り上げています。ポイントは次の3つです。
- 住民税: 前年の所得を基に算定されるため、退職後すぐには下がりません。
- 国民健康保険料: 前年の所得を基に算定されます。退職の年の収入が減っても、前年の給与が高ければ保険料は高めになる場合があります。
- 任意継続: 一定の条件を満たせば、退職後最大2年間は従前の健康保険を続けられます。協会けんぽの場合、在職中に事業主が負担していた分も自分で負担するため、退職時に給与から引かれていた健康保険料の2倍になります。
国民健康保険と任意継続のどちらが安いかは、退職時にそれぞれの見込み額を市区町村や保険者へ確認して選べます。払うのが難しいときは、申請で減免や猶予を受けられる場合があります。
このページで扱わないこと
退職金を年金の形で受け取った場合の保険料への影響、後期高齢者医療や介護保険料への影響、勤務先の健康保険の被扶養者になれるかどうかは、このページでは扱いません。公式資料で確認できた範囲だけを書いています。税の扶養については退職金を受け取った年の配偶者控除・扶養控除で整理しています。
自分の条件で試算する
退職金にかかる所得税・住民税を差し引いた手取りは手取り計算、代表的な金額の手取りは退職金の手取り早見表で確認できます。失業手当を受け取る場合は失業手当はいつ・いくらも参照してください。
新宿区・大阪市・横浜市の公式案内と総務省の公表資料にもとづく一般的な説明です。国民健康保険料は自治体ごとに決め方が異なり、個別の保険料額は断定できません。加入先の市区町村の窓口へ確認してください。
出典
- 新宿区「国民健康保険料の所得割の算定」の案内(city.shinjuku.lg.jp)
- 大阪市「保険料の決め方」(city.osaka.lg.jp)
- 横浜市「保険料に関する用語説明」(city.yokohama.lg.jp)
- 総務省「退職後の税金等の支払いにご注意!」(soumu.go.jp)