退職後の高額療養費の多数回該当は引き継げるか(協会けんぽ・国保・扶養)

通院や入院が続いている人が退職すると、加入する健康保険が変わります。協会けんぽの説明では、保険者(加入先の健康保険の運営元)が変わると高額療養費の「多数回該当」の回数は引き継げず、国民健康保険に入る場合や家族の扶養に入る場合も継続できません。引き継げる場合とできない場合を、協会けんぽと厚生労働省の公式ページで整理します。

多数回該当とは:4か月目から限度額が下がる

協会けんぽによると、療養を受けた月以前の1年間に、同一世帯(被保険者とその被扶養者)で3か月以上高額療養費の支給を受けた場合、4か月目から「多数回該当」となり、自己負担限度額が軽減されます。限度額適用認定証等を使って現物給付で受けた月も回数に含まれ、該当月は連続している必要はありません。

70歳未満の所得区分(令和8年8月〜令和9年7月)通常の限度額多数回該当の限度額年間上限
ア 標準報酬月額83万円以上270,300円+(総医療費-901,000円)×1%140,100円168万円
イ 53万〜79万円179,100円+(総医療費-597,000円)×1%93,000円111万円
ウ 28万〜50万円85,800円+(総医療費-286,000円)×1%44,400円53万円
エ 26万円以下61,500円44,400円53万円
オ 低所得者(住民税非課税)36,900円24,600円29万円

上の金額は、協会けんぽが案内する令和8年8月からの限度額です。多数回該当の金額は令和8年7月までと同じで、年間上限が新設されました。令和9年8月からは所得区分が細かくなり、標準報酬月額15万円以下の人の多数回該当の金額が引き下げられます。

退職後に引き継げる場合と引き継げない場合

協会けんぽは、多数回該当の回数を継続できる条件を次のように説明しています。

退職後の変化協会けんぽの説明
協会けんぽの被保険者から、協会けんぽ等の別の被保険者へ(保険者が変わらない)該当した回数を継続できる
国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽへ変わる、協会けんぽから国民健康保険や健康保険組合へ変わるなど、保険者が変わる変更前の該当回数を継続できない
被保険者から被扶養者へ(家族の扶養に入る)、被扶養者から被保険者へ変更前の該当回数を継続できない
被扶養者から被扶養者へ同一被保険者の被扶養者に限り継続できる。被保険者が変わった場合は継続できない

会社を辞めて国民健康保険に入る、または家族の扶養に入る場合は、上の表のとおり保険者や加入の状態が変わるため、協会けんぽの説明では、退職前の回数は継続できません。

任意継続と健康保険組合の付加給付は、公式ページで確認できた範囲

協会けんぽによると、任意継続被保険者は、医療機関等での窓口負担の割合も在職中と同様で、原則として在職中と同様の給付を受けられます。傷病手当金と出産手当金は、在職中から継続して給付されている場合に限り、引き続き申請できます。

一方、任意継続に移ったときの多数回該当の回数の扱いと、健康保険組合が独自に上乗せする付加給付の退職後の扱いは、今回確認した協会けんぽ・厚生労働省のページに記載が見つからなかったため、このページには書いていません。加入している(していた)健康保険組合の窓口か、協会けんぽの支部で確認してください。

退職前後にできること

よくある質問

多数回該当とは何ですか。

協会けんぽによると、療養を受けた月以前の1年間に、同一世帯(被保険者とその被扶養者)で3か月以上高額療養費の支給を受けた場合は、4か月目から自己負担限度額が軽減される仕組みです。該当月は連続している必要はありません。

退職して国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽに変わったら、多数回該当の回数は引き継げますか。

協会けんぽによると、国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽに加入した場合など、保険者が変わると、変更前の高額療養費の該当回数を継続することはできません。

退職して家族の扶養に入ると、回数はどうなりますか。

協会けんぽによると、被保険者から被扶養者になるなど加入の状態が変わった場合も、変更前の該当回数を継続することはできません。

任意継続や、健康保険組合の付加給付の扱いはどう確認しますか。

協会けんぽは、任意継続被保険者は原則として在職中と同様の給付を受けられるとしています。ただし、退職後の多数回該当の回数の引き継ぎと、健康保険組合の付加給付の退職後の扱いは、今回確認した公式ページに記載がなく、書いていません。加入している健康保険組合、または協会けんぽの支部へ確認してください。

協会けんぽ「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」「高額療養費」「任意継続の保険給付」、厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」にもとづく一般的な説明です。多数回該当の回数や限度額は、加入先の保険者、所得、世帯の状況で異なり、個別の結論は断定できません。加入先の保険者の窓口へ確認してください。

出典