入社1年未満・試用期間中に退職するときの退職金と失業手当

入社1年未満で辞めるときに迷いやすい、退職金が出るか、出た場合の退職所得控除(最低80万円)、失業手当の被保険者期間を、厚生労働省・国税庁・e-Govの資料で整理します。

結論: 退職金は規程次第、控除は最低80万円、失業手当は期間要件

論点入社1年未満の場合決めているもの
退職金が出るか会社の規程による(最低勤続年数を置く会社もある)就業規則・退職金規程
出た場合の退職所得控除最低80万円(1年未満は1年に切り上げ)国税庁No.1420
失業手当(一般の離職者)離職前2年間に被保険者期間12か月以上ハローワークの案内
失業手当(特定受給資格者・特定理由離職者)離職前1年間に被保険者期間6か月以上でも可ハローワークの案内

退職金が出るかどうかを決める就業規則・退職金規程

退職金は法律で支払いが一律に義務づけられたものではありません。会社が退職手当の定めをする場合、適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期を就業規則に書くことが労働基準法第89条第3号の2で定められています(常時10人以上の労働者を使用する使用者が対象)。入社1年未満・試用期間中に出るかどうかは、この規程の「適用範囲」と「最低勤続年数」の書き方で決まります。読み方は退職金規程の読み方、勤続年数に試用期間を通算するかは退職金の勤続年数の数え方で確認できます。

退職金が出た場合の税金: 退職所得控除は最低80万円

退職所得控除額は、勤続年数が20年以下なら「40万円×勤続年数」で、80万円に満たない場合は80万円です。勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げます。このため、入社1年未満の人の控除額は80万円になります。

手順勤続8か月・退職金60万円勤続10か月・退職金150万円
勤続年数(切り上げ)1年1年
退職所得控除額(40万円×1年は40万円のため、最低額)80万円80万円
退職金-控除額0円以下70万円
退職所得の金額(役員等以外・300万円以下は1/2)0円35万円

勤続5年以下の役員等以外の人の退職金は短期退職手当等に当たり、控除後の金額が300万円を超える部分に2分の1が使えません。上の例は300万円以下なので通常どおり2分の1です。詳しくは短期退職手当等の計算で整理しています。源泉徴収の違いは退職所得の受給に関する申告書のページで確認できます。

失業手当: 被保険者期間が足りるか

ハローワークの案内では、基本手当(失業手当)は、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることが要件です。ただし、特定受給資格者(倒産・解雇等)または特定理由離職者については、離職の日以前1年間に6か月以上あれば受けられます。

被保険者期間の1か月は、離職日から1か月ごとに区切った期間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上、または賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月です。試用期間中の期間が雇用保険の被保険者期間に入っているかは、離職票や雇用保険被保険者証の資格取得日で確認してください。前の会社の期間が通算できるかは、ハローワークで確認できます。

被保険者期間(今の会社のみで数えた場合)自己都合など(一般)会社都合・特定理由離職者
6か月未満要件を満たさない要件を満たさない
6か月以上12か月未満要件を満たさない満たす(離職前1年間に6か月以上)

受給できる日数や手続きの流れは失業手当はいつ・いくら、離職理由の区分は離職票の見方と離職理由への異議で確認できます。

よくある質問

入社1年未満で辞めたら、退職金は出ますか。

法律で一律に決まっているものではなく、会社の就業規則・退職金規程の定めによります。退職手当の定めをする場合は、適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期を就業規則に書くことが労働基準法第89条第3号の2で求められています。最低勤続年数(3年以上など)を設ける会社もあるため、まず自社の規程で確認してください。

退職金が出る場合、入社1年未満でも退職所得控除はありますか。

あります。勤続年数が20年以下の控除額は40万円×勤続年数ですが、80万円に満たない場合は80万円です。1年未満の端数は1年に切り上げるため、勤続8か月でも控除額は80万円になり、退職金が80万円以下なら退職所得は0円です。

入社1年未満で退職金150万円を受け取ったときの退職所得はいくらですか。

勤続1年に切り上げ、控除額は80万円(40万円×1年は40万円で、80万円に満たないため)です。150万円-80万円=70万円は300万円以下なので、2分の1をして退職所得の金額は35万円です(役員等以外の場合の一般的な計算)。

入社1年未満で辞めると、失業手当はもらえませんか。

一般の離職者(自己都合など)は、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上必要です。特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上でも対象になります。前職の雇用保険の期間が通算できる場合があるため、離職票などで確認してください。

被保険者期間の1か月は、どう数えますか。

離職日から1か月ごとに区切った期間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上、または賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月と数えます。

労働基準法第89条(e-Gov法令検索)、国税庁タックスアンサーNo.1420、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(確認日: 2026-10-14)にもとづく一般的な説明です。個別の退職金規程の適用や離職理由の判定は、勤務先・ハローワークへ確認してください。税務の判断が分かれる論点は、税理士または税務署へ確認してください。

出典