退職金規程に書かれる事項
退職金は、法律で支給が義務づけられたものではなく、会社が定めた場合に支払われます。定めをする場合、常時10人以上の労働者を使用する会社は、次の事項を就業規則に書いて届け出る必要があります(労働基準法第89条第3号の2)。
| 規程で確かめる項目 | 見る場所 |
|---|---|
| 適用される労働者の範囲 | 正社員のみか、契約社員・パートを含むか |
| 退職手当の決定・計算の方法 | 算定式、支給率の表、ポイントの表 |
| 支払の方法 | 一時金か年金か、社内準備か共済・外部機関か |
| 支払の時期 | 退職から何日以内に支払うか |
算定式の型は「基礎額を何にするか」で分かれる
厚生労働省の就労条件総合調査は、社内準備で退職一時金を払う企業について、算定の基礎になる額(算定基礎額)を2つに分けています。
| 型 | 内容 | 企業割合(複数回答) |
|---|---|---|
| 退職時の賃金 | 退職時の基本給などを基礎額にする型 | 55.6% |
| 別に定める金額 | 賃金とは別に定めた額やポイントで算定する型 | 44.6% |
「退職時の賃金」とする企業の内訳は、「すべての基本給」が33.9%、「一部の基本給」が21.6%です。規程で「基本給」の範囲(手当を含むか)を確かめると、自分の額を見積もる精度が上がります。
「別に定める金額」の3方式
| 方式 | 定義(調査の用語) | 企業割合(複数回答) |
|---|---|---|
| 点数(ポイント制)方式 | 一般に点数×単価の形。職能等級別に定めた点数に在級年数を掛けて累積点を出し、1点あたりの単価を掛ける | 19.0% |
| 別テーブル方式 | 賃金表とは別の体系やテーブルで算定基礎額表を定めている | 14.6% |
| 定額方式 | 退職時の賃金とは関係なく、勤続年数別・退職事由別などに退職一時金の額そのものを定めている | 7.8% |
割合は、平成25年就労条件総合調査の結果です(社内準備の企業が対象で、複数回答のため合計は100%になりません)。
規程で確かめる4点
- 算定式の型:上の表のどれに当たるかを、規程の条文で確かめます。
- 基礎額の範囲:基本給のみか、諸手当を含むか。ポイント制なら1点あたりの単価と、ポイントの付き方。
- 勤続年数の数え方:端数の扱い、休職・育児休業期間を含めるか、試用期間や過去の勤務を通算するか。規程上の数え方は会社の定めで、税金の計算で使う勤続年数(勤続年数の数え方)とは別です。休職や育児休業の扱いは休職・育児休業・介護休業と退職金の勤続年数で整理しています。
- 退職事由による違い:自己都合と会社都合、定年で支給率や額が分かれているか。
基礎額に支給率を掛ける型の見積もり方(計算例)
例として、規程が「退職時の基本給×勤続年数別の支給率」で、基本給が30万円、規程の表で該当する支給率が10.0の場合、退職金は30万円×10.0=300万円です。数値は計算の流れを示すための仮の例で、実際の額や支給率は、必ず自社の規程の表で確かめてください。
相場と照らす
規程から出した額は、業種・企業規模・勤続年数別の相場と並べて、自社の水準を確かめられます。受け取る額から税引後の手取りを見るには、手取り計算を使えます。規程そのものがあるかどうかは退職金制度がある企業の割合と種類をご覧ください。
よくある質問
退職金規程には、どんなことが書いてありますか。
労働基準法第89条は、退職手当の定めをする場合、適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払の方法、支払の時期を就業規則に書くよう求めています。常時10人以上の労働者を使用する会社が対象です。
退職金の算定式には、どんな型がありますか。
厚生労働省の就労条件総合調査は、算定基礎額を「退職時の賃金」とするものと、「別に定める金額」とするものに分けています。後者は点数(ポイント制)方式、別テーブル方式、定額方式の3つに分けられています。
退職金の算定で、勤続年数はどう使われますか。
ポイント制では在級年数を掛けて累積点を出し、支給率の表を使う型では勤続年数別の支給率を引きます。規程上の勤続年数の数え方は会社ごとの定めで、税金の計算で使う勤続年数とは別に確かめる必要があります。
自分の会社の規程が見当たらないときは、どうすればよいですか。
使用者には、就業規則を労働者に周知する義務があります(労働基準法第106条)。人事・総務の担当部署に、退職金に関する規程の閲覧を申し出てください。
出典
- 労働基準法 第89条・第106条(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省 平成25年就労条件総合調査結果の概況「退職給付(一時金・年金)制度」(mhlw.go.jp)
- 同「用語の解説」(mhlw.go.jp)