早期退職優遇制度の割増退職金の税金と、定年退職との手取りの違い

割増退職金も、通常の退職金と同じ退職所得の計算に入れます。勤続30年と35年で同じ総額を受け取る例で、退職所得控除の差を国税庁の資料の式から計算します。

割増退職金は退職所得に含めて計算する

国税庁のNo.2732は、退職手当等に「退職したことに基因して支払われるすべての給与」が含まれると説明しています。本来の退職手当のほかに功労金などを支給しても、退職手当等に含めて源泉徴収します。

早期退職優遇制度で上乗せされる割増退職金は、退職をきっかけに支払われるお金です。このため通常の退職金と合わせた総額を、1つの退職手当等として退職所得を計算するのが基本です(国税庁の説明からの整理です。個別の制度の取扱いは支払う会社や税務署に確認してください)。

計算の流れ(一般の退職手当等の場合)

手順内容
1勤続年数を数える(1年未満の端数は1年に切り上げ)
2退職所得控除額を出す(20年以下は40万円×勤続年数で、80万円に満たなければ80万円。20年超は800万円+70万円×(勤続年数-20年))
3(割増分を含む退職金の総額-退職所得控除額)×1/2が退職所得の金額

割増分が増えると、その分だけ(総額-控除額)が増え、退職所得の金額は割増額の2分の1ずつ増えます。

勤続年数が短いと退職所得控除額が減る

退職所得控除額は勤続年数で決まります。20年を超える部分は1年あたり70万円ずつ増えるため、早期退職で勤続年数が短くなると、その年数分だけ控除額が小さくなります。控除額の一覧は退職所得控除額の早見表で確認できます。

計算例: 総額2,500万円を勤続30年と35年で受け取る

同じ総額2,500万円(早期退職は通常の退職金2,000万円+割増500万円と仮定)で、勤続年数だけが違う2人を比べます。国税庁の式に数字を入れた試算で、実在の制度の金額ではありません。

項目早期退職(勤続30年)定年退職(勤続35年)
退職金の総額2,500万円2,500万円
退職所得控除額800万円+70万円×10年=1,500万円800万円+70万円×15年=1,850万円
総額-控除額1,000万円650万円
退職所得の金額(×1/2)500万円325万円

総額が同じでも、勤続年数が5年短いと控除額が350万円小さく、退職所得の金額は175万円多くなります。税率は退職所得の金額に応じて決まるため、その分だけ税額も増えます。所得税の速算表と住民税を含めた手取りは手取り計算で試算できます。

割増分だけを見ると

上の早期退職の例で、割増500万円がなかったとすると、(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円です。割増500万円を足すと500万円になり、退職所得の金額は250万円増えます。割増額の全額ではなく、2分の1が上乗せされる計算です。

勤続5年以下の場合は式が変わる

役員等以外として勤めた期間が5年以下の人の退職手当等は、短期退職手当等として、控除後の300万円を超える部分に1/2が使えません。詳しくは短期退職手当等の計算のページにあります。

源泉徴収と申告書

「退職所得の受給に関する申告書」を支払者に出していれば、退職所得の金額に応じた所得税等が源泉徴収されます。出していないと、退職手当等の支払金額の20.42パーセントが源泉徴収され、確定申告で精算します。違いは退職所得の受給に関する申告書のページで整理しています。前に退職金を受け取っている場合の控除額の調整は重複期間の調整を確認してください。

国税庁タックスアンサーNo.1420とNo.2732(令和8年4月1日現在法令等)にもとづく一般的な説明です。割増退職金の個別の取扱い、勤続年数に加算がある制度などは、支払者や税務署への確認が必要です。計算例は式に数字を入れた試算であり、税額を保証するものではありません。確認日: 2026-10-08。

出典