退職所得控除の重複期間の調整(前年以前4年内・9年内・19年内)

前に退職金を受け取っていると、今回の退職金の退職所得控除額が減ることがあります。前年以前4年内・9年内・19年内のどれに当たるかと、前の退職金が控除額に満たないときの数え方を整理します。

重複期間の調整とは

退職所得控除額は、勤続年数が長いほど大きくなります。ところが、前に受け取った退職金の勤続期間と、今回の退職金の勤続期間が重なっているときは、同じ期間の控除を二重に使えません。そこで、今回の退職金の勤続年数から出した退職所得控除額から、重なった期間(重複期間)の分を差し引きます。

具体的には、重複期間の年数(1年未満の端数は切り捨て)で退職所得控除額の表を使って金額を出し、それを今回の控除額から引いた残りが、使える退職所得控除額です。

重複期間が生じる2つの場面

前年以前4年内・9年内・19年内の違い

(2)で、どの期間内に受け取った退職金が「前の退職手当等」になるかは、受け取った退職金の種類で変わります。国税庁No.2732の区分を、ここでは3つに分けて並べます。

区分当てはまる場合「前の退職手当等」になるもの
イ(4年内)前年以前4年内に退職手当等を受け取った場合(ロ・ハの場合を除く)前年以前4年内に受け取った退職手当等
ロ(9年内)前年以前9年内に、確定拠出年金法に基づく老齢給付金の一時金(令和8年1月1日以後に受け取ったものに限る)を受け取った場合(ハの場合を除く)令和8年1月1日以後に受け取った退職手当等で、前年以前9年内のもの。令和8年1月1日前に受け取った退職手当等で、前年以前4年内のもの
ハ(19年内)前年以前19年内に退職手当等を受け取り、本年中に確定拠出年金法に基づく老齢給付金の一時金を受け取る場合前年以前19年内に受け取った退職手当等

ロは、令和8年1月1日以後に受け取った確定拠出年金の老齢給付金の一時金が対象です。ハは、本年中に確定拠出年金の老齢給付金の一時金を受け取る場合です。どの年が「前年以前〇年内」に入るかの数え方は、国税庁の原文でも確認してください。

前の退職金が控除額に満たないときの数え方

(2)の場合で、前の退職手当等の収入金額が、その勤続年数から計算した退職所得控除額に満たないときは、前の勤続期間を短く見直して重複期間を数えます。前の勤続期間は、その期間の初日から次の表で出した年数が過ぎた日の前日までだったものとして扱います(1未満の端数は切り捨て)。

前の退職手当等の収入金額年数の算式
800万円以下収入金額÷40万円
800万円を超える(収入金額-800万円)÷70万円+20

算式にあてはめた例です。前の収入金額が300万円なら、300万円÷40万円=7.5の端数を切り捨てて7年です。前の勤続期間は、初日から7年が過ぎた日の前日までとして、今回の勤続期間と重なる部分を数えます(国税庁の算式から計算した値)。

計算例: 勤続25年で重複期間が6年の場合

重複期間が6年あると仮定して、国税庁の表と式から計算した例です。

手順内容金額
1今回の勤続25年の退職所得控除額(800万円+70万円×(25年-20年))1,150万円
2重複期間6年の退職所得控除額相当額(40万円×6年)240万円
3使える退職所得控除額(1,150万円-240万円)910万円

重複期間がなければ控除額は1,150万円なので、重複で240万円減ります。実際に重複期間がどれだけになるかは、前の退職金の時期・金額・勤続期間で決まります。

このページで扱わないこと

同じ年に複数の退職手当等を受け取る場合の計算、特定役員退職手当等・短期退職手当等への該当性は、判断が分かれるためこのページでは扱いません。勤続5年以下の場合は短期退職手当等の計算を、支払者への書類は退職所得の受給に関する申告書のページを確認してください。

自分の条件で試算する

重複期間がない場合の税引後の手取りは、手取り計算で試算できます。勤続年数別の控除額は退職所得控除額の早見表、代表的な金額の手取りは退職金の手取り早見表で引けます。重複期間がある場合は、上の方法で出した退職所得控除額を踏まえて、税理士または税務署へ確認してください。

国税庁タックスアンサーNo.2732「退職手当等に対する源泉徴収」の記載(令和8年4月1日現在法令等)にもとづく一般的な説明です。個別の事情での重複期間の判定や、特定役員退職手当等への該当性など判断が分かれる論点は断定できません。税理士または税務署へ確認してください。

出典