結論:退職の理由では税の計算は変わらず、金額と扱いの条件が変わる
国税庁のタックスアンサーNo.1420では、退職所得の計算式は退職の理由で分かれていません。自己都合でも会社都合でも定年でも、(退職金の額-退職所得控除額)×1/2が退職所得の金額です(確認日 2026-10-12)。理由によって変わるのは、受け取る金額、割増分の有無、勤続年数の長さ、打切り支給が退職所得になる条件です。
5つの退職理由の比較表
| 退職理由 | 税の計算式 | 金額の違い | 確認する点 | 詳しいページ |
|---|---|---|---|---|
| 自己都合退職 | 退職所得控除と2分の1計算を使う(理由による違いなし) | 会社都合より少ない傾向(東京都の勤続10年・20年・30年のモデル額で確認) | 勤続5年以下は短期退職手当等の特例 | 自己都合と会社都合の差 |
| 会社都合退職 | 同上 | 自己都合より多い傾向(東京都のモデル額で確認) | 同上 | 自己都合と会社都合の差 |
| 定年退職 | 同上 | 勤続年数が長く、控除額も大きくなりやすい | 退職所得の受給に関する申告書の提出 | 受給に関する申告書 |
| 早期退職 | 割増退職金も含めた総額で、同じ式を使う | 通常の退職金に割増分が上乗せされる | 勤続年数が短いと控除額が減る | 早期退職の割増退職金の税金 |
| 定年後の再雇用 | 打切り支給が通達30-2の条件を満たせば退職所得、満たさなければ給与所得として扱われる可能性 | 定年時に精算する額で決まる | 再雇用後の退職金の計算に、精算済みの勤続期間を加味しないこと | 再雇用と退職金の所得区分 |
金額の違いの欄は、一般的な傾向です。実際の金額は会社の退職金規程で決まります。東京都の調査の数値は、自己都合と会社都合のページで確認できます。
理由によらず共通する計算
- 退職所得控除額は、勤続20年以下なら40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円)、20年超なら800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。
- 勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げます。
- 障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除額に100万円が加わります。これは退職の理由によって控除額が変わる唯一の例です。
- 勤続年数が5年以下で、役員等以外の人の退職金は、控除後の金額のうち300万円を超える部分に2分の1計算が使えません(短期退職手当等)。早期退職で勤続が短い場合も、この扱いを確認します。
退職理由ごとの確認ポイント
自己都合・会社都合
税の式は同じで、差が出るのは受け取る額です。会社都合のほうが多く設定される会社があります。退職金とは別に、失業手当を受け取る場合は失業手当はいつ・いくらも確認してください。
定年
勤続年数が長くなりやすく、退職所得控除が大きくなります。「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出すと、退職所得の金額に応じた所得税等が源泉徴収され、原則として確定申告は不要です。出さないと、退職金の額に一律20.42%の源泉徴収がされ、確定申告で精算することになります。
早期退職
割増退職金も退職手当等の額に含めます。割増分だけを別に計算することはありません。
定年後の再雇用
定年時に打切り支給を受ける場合は、通達30-2の条件に当たるかが分かれ目です。当たるかどうかは会社の制度と支給の実態で決まるため、税務署または税理士に確認してください。
失業手当の手続きで使う離職票-2にも離職理由の欄があり、会社の記載に異議があるときの書き方は離職票-2の離職理由欄の見方と異議の書き方で確認できます。定年で退職して休んでから失業手当を受けたい場合は定年退職後の失業手当の受給期間の延長が参考になります。
自分の場合の手取りを試算する
退職理由にかかわらず、受け取る額と勤続年数を入れると、退職所得控除後の税額と手取りを手取り計算で試算できます。控除額は退職所得控除の早見表、短期の場合は短期退職手当等の計算で確認できます。
よくある質問
自己都合で辞めると、退職金の税金は高くなりますか。
税の計算式は退職の理由で分かれていません。自己都合でも会社都合でも、(退職金の額-退職所得控除額)×1/2が退職所得の金額です。違いが出るのは、会社の規程で決まる受け取る金額です。
退職の理由によって退職所得控除額が変わることはありますか。
障害者になったことが直接の原因で退職した場合だけ、控除額に100万円が加わります。それ以外の理由では、勤続年数だけで控除額が決まります。
勤続年数が短い早期退職でも、2分の1計算は使えますか。
勤続年数が5年以下で、役員等以外の人の退職金は、控除後の金額のうち300万円を超える部分に2分の1計算が使えません。割増退職金は退職手当等の額に含まれます。
退職所得の受給に関する申告書を出さないと、どうなりますか。
退職金の額に一律20.42%の所得税等が源泉徴収され、確定申告で精算することになります。申告書を出すと、退職所得の金額に応じた額が源泉徴収され、原則として確定申告は不要です。
出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(nta.go.jp)
- 国税庁 所得税基本通達 法第30条《退職所得》関係(nta.go.jp)
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp)