退職金が分割払い・支払猶予で払われるときの課税のタイミング

会社の資金繰りなどで退職金が分割や猶予で払われるときに、退職所得がいつの収入になるか、源泉徴収と申告書がどの時点で関わるかを、国税庁・e-Govの原文で整理します。

収入すべき時期・源泉徴収・申告書の原文一覧

論点原文の定め根拠
収入すべき時期(原則)支給の基因となった退職の日所得税基本通達36-10
収入すべき時期(役員で機関の決議が必要なもの)退職後にその決議があった日(金額が未定なら金額が具体的に定められた日)所得税基本通達36-10(1)
収入すべき時期(規程の改訂がさかのぼった差額)支給日が定められていれば支給日、なければ改訂の効力が生じた日所得税基本通達36-10(2)
源泉徴収のタイミング支払の際に徴収し、翌月10日までに納付所得税法第199条
申告書がないとき支払金額の20%を源泉徴収所得税法第201条第3項

退職所得の収入すべき時期

国税庁の所得税基本通達36-10は、退職所得の収入金額の収入すべき時期を「その支給の基因となった退職の日」としています。通達の文言のうえでは、分割払いにして支払日が後ろにずれても、基準は退職の日です。たとえば12月に退職し、退職金を翌年以降に分けて受け取る場合も、通達の文言どおりに読むと退職の日の属する年の収入として扱われます。ただし、実際の分割の取り決めの内容によって判断が分かれる場合があるため、個別のケースは税務署または税理士へ確認してください。

役員の場合は、株主総会などの機関の決議が必要な退職手当等は、退職後にその決議があった日になります。決議が支給することだけを定め、具体的な金額を定めていない場合は、金額が具体的に定められた日です。

一つの退職で二つ以上の退職手当等があるとき

所得税法施行令第77条は、一の勤務先を退職することにより二以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合、そのうち最初に支払を受けるべきものの支払を受けるべき日の属する年の収入金額として扱うと定めています。退職一時金と企業年金からの一時金など、複数の受取りがあるときの確認先になります。

源泉徴収と申告書: 支払の際に、確定した時点の状況で

退職手当等の支払をする者は、その支払の際に所得税を徴収し、徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付します(所得税法第199条)。税額の計算で使う退職所得控除額は、退職手当等を支払うべきことが確定した時の勤続年数などの状況によります(同法第201条第2項)。

退職所得の受給に関する申告書を支払を受ける時までに出していない場合は、支払う金額の20%が源泉徴収されます(同法第201条第3項)。申告書の書き方と出す・出さないの違いは退職所得の受給に関する申告書、確定申告で精算するときは退職所得と年末調整・確定申告で整理しています。

支払時期そのものの決まり

退職金をいつまでに払うかは、就業規則・退職金規程の定めと、労働基準法の賃金支払のルールに関わります。支払時期の決まりと時効は退職金の支払時期と時効、会社が倒産して払われない場合は未払賃金立替払制度での退職手当の立替で確認できます。計算した手取りの目安は手取り計算で試算できます。

よくある質問

退職金が分割払いになったとき、退職所得はいつの収入になりますか。

所得税基本通達36-10は、退職所得の収入金額の収入すべき時期を、原則として支給の基因となった退職の日としています。通達の文言では、実際の支払日ではなく退職の日が基準です。例外として、役員の退職手当等で機関の決議が必要なものは決議があった日などが定められています。個別の事情で判断が分かれる場合は、税務署または税理士へ確認してください。

役員の退職金は、いつの収入になりますか。

役員に支払われる退職手当等で、支給に株主総会その他正当な権限を有する機関の決議が必要なものは、退職後にその決議があった日です。決議が支給することだけを定めて具体的な金額を定めていない場合は、金額が具体的に定められた日になります(所得税基本通達36-10(1))。

退職金の源泉徴収は、いつ、どの時点で行いますか。

退職手当等の支払をする者は、その支払の際に所得税を徴収し、徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付します(所得税法第199条)。徴収する税額の計算では、退職手当等を支払うべきことが確定した時の状況が基準になります(所得税法第201条第2項)。

退職所得の受給に関する申告書を出さないと、どうなりますか。

申告書を支払を受ける時までに提出していないときは、支払う退職手当等の金額に20%の税率を乗じた税額が源泉徴収されます(所得税法第201条第3項)。確定申告で精算できる場合があります。

一つの退職で二つ以上の退職手当等を受け取るときは、どの年の収入ですか。

所得税法施行令第77条は、一の勤務先を退職することにより二以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合、そのうち最初に支払を受けるべきものの支払を受けるべき日の属する年の収入金額として扱うとしています。

国税庁 所得税基本通達36-10、e-Gov法令検索の所得税法第199条・第201条・同法施行令第77条(確認日: 2026-10-14)にもとづく一般的な説明です。分割払いの取り決めの内容による判断や、役員退職手当等の該当性など判断が分かれる論点は断定できません。税理士または税務署へ確認してください。

出典