副業・兼業の片方を辞めるときの退職金・雇用保険・社会保険

複数の勤め先がある人が片方を辞めるときの、退職金の源泉徴収、雇用保険、健康保険・厚生年金の扱いを、国税庁・厚生労働省・日本年金機構の資料で整理します。

結論: 退職金・雇用保険・社会保険で、複数の勤め先の扱いが違う

副業・兼業で複数の勤め先があり、片方を辞めるとき、退職金の税金は「同じ年の退職金を合算して控除を計算する」、雇用保険は「主たる賃金を受ける1社でだけ加入する」、健康保険・厚生年金は「届出をして標準報酬月額を合算する」と、制度ごとに考え方が違います。国税庁・厚生労働省・日本年金機構の資料で確認できた範囲を整理します。

退職金の税金: 同じ年に2か所から退職金が出るとき

国税庁によると、同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるときは、後から払う会社が、すでに支払われた退職手当等も含めて源泉徴収税額を計算します。受け取る人は、支払を受ける時までに「退職所得の受給に関する申告書」を出し、その年に支払済の退職手当等があれば、支払者の名称、金額、源泉徴収された税額、支払年月日、勤続年数などを記入して、その分の「退職所得の源泉徴収票」を添付します。

国税庁の例では、A社の退職金400万円(勤続9年)とB社の退職金180万円を同じ年に受け取るときも、合算して計算します。前年以前に退職金を受け取っている場合は、重複期間に応じて控除額が変わることがあります。副業先からの報酬が退職手当等に当たるかどうかは、断定できません。税務署へ確認してください。申告書の出し方は退職所得の受給に関する申告書を出す・出さないの税額の違いにあります。

雇用保険: 加入するのは主たる賃金を受ける1社

厚生労働省のQ&Aによると、同時に複数の会社で雇用関係にあり、それぞれの会社で加入要件を満たす労働者は、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける会社でだけ加入します。また、雇用保険の加入要件は1つの会社で満たす必要があり、どの会社も要件を満たさないときは、雇用保険に加入できません。

失業手当(基本手当)は、被保険者であった期間にもとづいて受給資格が決まります(離職の日以前2年間に通算12か月以上が原則)。加入していない副業先で働いた期間は、被保険者であった期間になりません。副業・兼業のガイドラインにも、1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合は雇用保険等の適用がない場合があるとの留意点があります。

主たる賃金を受けていない会社を辞めたときや、本業が残っていて副業だけを辞めたときに失業手当が出るかは、断定できません。ハローワークで確認してください。受給中に副業をした場合の申告は失業手当の受給中のアルバイト・内職・手伝いにあります。

健康保険・厚生年金: 二以上事業所勤務届

日本年金機構によると、同時に2か所以上の適用事業所に使用されることになったときは、事実発生から10日以内に本人が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出し、主たる事業所を選びます。それぞれの事業所の報酬月額を合算して標準報酬月額を決め、保険料はその額をそれぞれの報酬月額で按分します。健康保険組合の事業所を選んだときは、組合にも手続きが必要です。

片方を辞めたあとの標準報酬月額の見直しや、選択した事業所を辞める場合の扱いは、確かめられませんでした。年金事務所と、加入先の健康保険組合または協会けんぽへ確認してください。退職後の健康保険の選択肢は退職後の健康保険の比較にあります。

このページで扱わないこと

個人事業の収入や業務委託の報酬、役員としての勤め先がある場合の退職金(特定役員退職手当等の該当性など)の扱いは、断定できません。税理士または税務署へ確認してください。

関連するページ

よくある質問

副業先からも退職金が出たとき、税金はどう計算しますか。

同じ年に2か所以上から退職手当等が出るときは、収入金額を合計し、勤続期間は最も長いものを基に重複しない期間を加えて、退職所得控除額を計算します。後から受け取る会社に、支払済の退職金の源泉徴収票を添付した申告書を出します。

副業と本業の両方で雇用保険に入れますか。

厚生労働省のQ&Aでは、複数の会社で加入要件を満たす場合でも、加入するのは生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける会社だけです。加入要件は1つの会社で満たす必要があり、どの会社も満たさないと加入できません。

雇用保険に入っていない副業先を辞めたら、失業手当はもらえますか。

失業手当は被保険者であった期間にもとづくため、加入していない勤め先の期間は対象になりません。本業が残っているときなどの個別の扱いは、ハローワークで確認してください。

副業・兼業で2か所の社会保険に入っているときの手続きは何ですか。

事実発生から10日以内に、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を日本年金機構へ出します。標準報酬月額は2か所の報酬月額を合算して決まり、保険料は報酬月額に応じて按分されます。

国税庁タックスアンサーNo.2735(令和8年4月1日現在法令等)、厚生労働省の雇用保険Q&A・副業兼業ガイドライン、日本年金機構の案内にもとづく一般的な説明です(確認日: 2026-10-14)。個別の判断は税務署・ハローワーク・年金事務所が行うため、各窓口または税理士へ確認してください。

出典