派遣社員の退職金(派遣元の制度の有無と退職金の確保方法)

派遣社員の退職金は、雇用主である派遣元の制度で決まります。派遣元が退職金を確保する3つの方法と、派遣先が替わるときの考え方を、法令と厚生労働省の通知で確かめた内容だけで整理します。

退職金を払うのは雇用主の派遣元

労働者派遣法は、派遣労働者を「事業主が雇用する労働者であって、労働者派遣の対象となるもの」と定めています(第2条第2号)。労働者派遣は、自己の雇用する労働者を、その雇用関係のもとで、他人の指揮命令を受けて、他人のために働かせることです(同条第1号)。働く場所は派遣先ですが、雇用主は派遣元です。退職金の制度があるか、いつから受け取れるかは、派遣元の就業規則や契約書で確かめます。

派遣先が替わるときの考え方

派遣元が待遇を決める2つの方式

厚生労働省の通知によると、派遣元事業主は、派遣労働者の公正な待遇を確保するため、次のどちらかを確保します。

方式内容根拠
派遣先均等・均衡方式派遣先に雇用される通常の労働者との間の均等・均衡待遇を確保する労働者派遣法第30条の3
労使協定方式法定の要件を満たす労使協定にもとづいて待遇を決める労働者派遣法第30条の4第1項

どちらの方式を採っているかは、派遣元から交付される書面や派遣元の説明で確かめます。

労使協定方式で退職金を確保する3つの方法

労使協定方式では、賃金を「基本給・賞与・手当等」「通勤手当」「退職金」に分け、それぞれ同種の業務に従事する一般の労働者の賃金(一般賃金)と同等以上にすることを求めます。このうち退職金(一般退職金)は、通知で次の3つから労使が選ぶと示されています。

方法内容
(1) 退職手当制度で比較する派遣労働者の退職手当制度と、通知の別添が示す一般の労働者の退職手当制度(制度がある企業の割合、受給に必要な年数、支給月数、支給金額)を比べる
(2) 一般の労働者の退職金に相当する額で確保する一般基本給・賞与等に5%を乗じた額を一般退職金として、同等以上を確保する
(3) 中小企業退職金共済制度等に加入する一般基本給・賞与等に5%を乗じた額を一般退職金として扱う

通知の注記によると、5%は「令和3年就労条件総合調査」の退職給付等の費用が、現金給与額に占める割合です。(2)と(3)は、一人の派遣労働者について併用できます。この通知は、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの期間に適用されます。年度ごとに更新されるため、最新の通知は厚生労働省の案内で確認してください。

派遣社員が退職金を確認する手順

  1. 派遣元の就業規則・労働条件通知書で、退職金の制度があるかを確かめる。
  2. 派遣元が労使協定方式を採っているときは、退職金を確保する3つの方法のどれを選んでいるかを、労使協定の書面や派遣元の説明で確かめる。
  3. 派遣先が替わる、契約が更新されない、別の派遣元に移るなどの場合に、勤続がどう数えられるかを派遣元に確かめる。
  4. パート・契約社員の退職金の考え方はパート・契約社員の退職金、退職金にかかる税金は退職金の手取り早見表で確認できる。

よくある質問

派遣社員の退職金は、派遣先と派遣元のどちらが払いますか。

派遣労働者は、派遣元事業主が雇用する労働者です(労働者派遣法第2条第2号)。労働者派遣は、自己の雇用する労働者を他人の指揮命令を受けて働かせることをいうので(同条第1号)、雇用主は派遣元です。退職金の制度の有無や額は、派遣元の就業規則や労使協定で確認します。

派遣先が替わると、退職金の勤続は途切れますか。

派遣先が替わっても、派遣元との雇用契約が続いていれば、雇用主は同じ派遣元です。勤続年数を数える基準は、退職金を支払う派遣元の規程で決まります。契約が更新されず雇用が終わった期間があるときの扱いも、派遣元の規程で確認してください。

派遣社員にも退職金は必ず支給されますか。

法律で一律に決まっているわけではありません。ただし派遣元は、派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇(労働者派遣法第30条の3)か、法定の要件を満たす労使協定にもとづく待遇(同法第30条の4)のどちらかを確保しなければなりません。労使協定方式では、退職金も一般の労働者と同等以上を確保する対象に含まれます。

労使協定方式では、退職金をどのように確保しますか。

厚生労働省の通知は、労使で次の3つから選ぶとしています。(1)一般の労働者の退職手当制度と比較する、(2)一般基本給・賞与等に5%を乗じた額を一般退職金として同等以上を確保する、(3)中小企業退職金共済制度等に加入する。(3)も、割合は5%とされています。

退職金の税金は、派遣社員も同じ計算ですか。

派遣元から退職金を受け取る場合は、他の勤め先の退職金と同じく、退職所得控除を引いた残りの2分の1が退職所得になります。勤続年数は派遣元のもとで引き続き勤務した期間で数えます。勤続5年以下の場合は計算に例外があります。

労働者派遣法と厚生労働省の通知にもとづく一般的な説明です。派遣元ごとの退職金の制度、労使協定の内容、勤続の数え方は、派遣元の規程や書面で確認してください。判断が分かれる場合は、労働局や弁護士へ相談してください。

出典