制度の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠と実施 | 社会福祉施設職員等退職手当共済法(昭和36年法律第155号)に基づく制度。実施は独立行政法人福祉医療機構 |
| 契約できる人 | 社会福祉施設等を経営する社会福祉法人のみ。契約するかどうかは各法人の任意。令和7年4月1日現在、16,678法人(社会福祉法人全体の約8割)が加入 |
| 財源 | 法人が納める掛金。職員の負担はない。保育所等は給付費に対して国と都道府県から各3分の1の補助がある |
| 支給の条件 | 在籍1年以上。1年未満で退職したときなどは支給されない |
| 金額の決め方 | 退職前6か月の本俸平均額に応じた計算基礎額 × 在籍期間に応じた法定の支給乗率 |
| 受け取り | 福祉医療機構が、請求者が指定した口座へ直接振り込む |
掛金は職員ごとには積み立てられません。その年度に納められた掛金などで、その年度の退職手当金をまかなう「賦課方式」です。そのため、法人が共済契約を解除した場合、その職員に退職手当金は支給されません。
対象になる職員
共済契約を結んだ法人の職員のうち、雇用期間に定めのない職員は、採用した日から「被共済職員」になります。要件を満たしている職員は必ず加入することになっています。パートや臨時の職員も、一定の要件を満たせば同じ扱いです。要件の細目は福祉医療機構のリーフレットで確認してください。
支給額の決まり方と勤続年数別の例
退職手当金は、退職前6か月の本俸の平均額に応じた「計算基礎額」に、在籍期間(被共済職員期間)に応じて法律で決まっている「支給乗率」を掛けて求めます。勤続が長いほど有利になるように乗率が定められています。
| 勤続年数 | 退職前6か月の本俸平均額 | 計算基礎額 | 支給乗率 | 退職手当金の見込額 |
|---|---|---|---|---|
| 5年 | 20万円 | 19万円 | 2.6100 | 約50万円 |
| 10年 | 22万円 | 22万円 | 5.2200 | 約115万円 |
| 20年 | 28万円 | 28万円 | 20.4450 | 約572万円 |
| 30年 | 33万円 | 32万円 | 36.1050 | 約1,155万円 |
| 40年 | 41万円 | 36万円 | 46.5450 | 約1,676万円 |
表は厚生労働省の資料にある例です。たとえば10年の例は、計算基礎額22万円に乗率5.2200を掛けて約115万円になります。計算基礎額は本俸の平均額と同じとは限らず、5年・30年・40年の例では本俸の平均額より低くなっています。自分の金額は、福祉医療機構のホームページにある早見表や試算で確かめてください。令和7年度の実績は、支給者数82,574人、支給総額1,452.2億円、支給の平均は1,758,622円です。
期間の数え方と、支給されない場合
- 期間は月単位で計算し、通算して1年未満の端数月は切り捨てます。
- 1か月のうち10日を超えて勤務した月が、期間となる月です。年次有給休暇(1年に20日以内)も期間となる月とみなします。
- 育児・介護休業の期間や労災休業の期間は、福祉医療機構に届け出ると期間となる月になります。
- 共済契約者が掛金を納めていないとき、被共済職員となって1年未満で退職したとき、犯罪行為等による退職などの場合は、退職手当金は支給されません。
転職・復職したときの期間の通算
被共済職員期間が1年以上あり、退職後3年以内に、この制度に加入している施設で再び働いて加入したときは、前の期間と合算できます。家庭の都合や結婚で退職したあとの復職や、別の法人への転職でも使えます。退職手当金を受け取らずに期間を合算する仕組みで、期間が長くなる分、支給水準が上がることが期待できます。
請求の流れ
- 職員が退職すると、共済契約者の法人が「被共済職員退職届」を提出します。
- 職員は「退職手当金請求書・合算申出書」を提出します。
- 福祉医療機構が、請求者が指定した口座へ退職手当金を直接振り込みます。
手続きの窓口や様式は変わることがあります。請求の方法は福祉医療機構のホームページ(共済部)で最新の案内を確認してください。
ほかの退職金制度との関係
東京都の案内では、この制度に加入している従業員は、中小企業退職金共済(中退共)と重複して加入できません。中退共の請求は中退共の退職金の請求手続き、建設業・林業・清酒製造業の共済は建退共・林退共・清退共の比較で確認できます。
受け取ったあとの手取りと手続き
退職手当金の税金の扱いは、このページでは確認できた範囲に含めていません。受け取る前後の手続きは退職金の受取前後の手続きチェックリスト、退職所得控除は退職所得控除の早見表、手取りは手取り計算で試算できます。税務上の判断は税務署または税理士に確認してください。
よくある質問
社会福祉施設職員等退職手当共済制度とは何ですか。
福祉施設で働く職員のための退職金制度です。社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づき、福祉医療機構が実施しています。法人が掛金を納め、職員が退職したときに福祉医療機構が本人の口座へ退職手当金を直接振り込みます。
退職手当金はいくらもらえますか。
退職前6か月の本俸平均額に応じた計算基礎額に、在籍期間に応じた法定の支給乗率を掛けて決まります。厚生労働省の資料の例では、勤続10年で約115万円、20年で約572万円、30年で約1,155万円です。
勤続1年未満で辞めるともらえませんか。
被共済職員となった日から1年未満で退職したときは、退職手当金は支給されません。在籍1年以上の人が対象です。
転職した場合、期間は引き継げますか。
被共済職員期間が1年以上あり、退職後3年以内に、この制度に加入している施設で再び働いて加入した場合は、期間を合算できます。
中小企業退職金共済(中退共)と両方に入れますか。
東京都の案内によると、この制度に加入している従業員は、中退共と重複して加入できません。
出典
- 厚生労働省「社会福祉施設職員等退職手当共済制度について」(mhlw.go.jp)
- 福祉医療機構「社会福祉施設職員等退職手当共済事業について」(wam.go.jp)
- 福祉医療機構「退職手当共済制度のリーフレット(2025)」(wam.go.jp)
- 東京都福祉局「社会福祉施設職員等退職手当共済制度について」(fukushi.metro.tokyo.lg.jp)