定年延長・65歳定年と退職金:旧定年での打切り支給と税の扱い

定年が延びたとき、退職金を旧定年の時点で支払う場合の税の扱いを、高年齢者雇用安定法の条文と国税庁の通達の原文で確認します。

結論:旧定年での打切り支給は、相当の理由があれば退職手当等

国税庁の所得税基本通達30-2(5)は、労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合に、旧定年に達した使用人へ、旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払をすることにつき相当の理由があると認められるものを、退職手当等とされる給与に挙げています(国税庁、確認日 2026-10-14)。退職手当等になれば、退職所得として計算されます。相当の理由があるかどうかは個別の事情で決まります。

定年の年齢と、会社が講じる措置(高年齢者雇用安定法)

条文内容
第8条定年を定める場合、60歳を下回ることはできない(厚生労働省令で定める業務を除く)
第9条65歳未満の定年を定めている事業主は、65歳までの雇用を確保するため、(1)定年の引上げ、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年の定めの廃止のいずれかを講じなければならない

厚生労働省は、2025年4月1日以降もこの3つのいずれかが必要で、65歳までの定年の引き上げが義務になるわけではない、と説明しています。つまり、定年延長をする会社もあれば、継続雇用(再雇用)にとどめる会社もあります。

定年延長と再雇用で、退職金の扱いが分かれる点

場合国税庁通達の該当箇所退職手当等として扱われる給与
定年に達した後、引き続き勤務する(再雇用など)30-2(4)定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与
労働協約等を改正して定年を延長した30-2(5)旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として、旧定年に達した使用人に支払われる給与で、支払につき相当の理由があると認められるもの

再雇用の場合は定年後に再雇用で働く人の退職金の所得区分で詳しく確認できます。定年延長の場合は、(5)に「相当の理由があると認められる」という条件が付いている点が違います。

打切り支給をしたときの勤続年数の数え方

通達30-8は、30-2により退職手当等とされる給与に係る勤続年数は、その給与の計算の基礎とされた勤続期間の末日において退職したものとして計算する、と定めています。旧定年の時点で打切り支給を受けた場合は、旧定年までの期間が、退職所得控除の勤続年数になります。

延長後に最終的に退職するときの退職金の計算方法は、会社の退職金規程で決まります。規程と税務署の案内で確認してください。退職所得控除の計算は手取り計算で試算できます。

役職定年の場合

役職定年は、役職を外れても雇用が続く制度です。通達30-2の列挙((1)から(6))に、役職定年という語はありません。役職定年を理由に退職金が支払われるか、支払われる場合に退職所得になるかは、会社の退職金規程と、個別の事情で決まります。規程を確認し、税の扱いは税務署または税理士に確認してください。規程の読み方は退職金規程の読み方にまとめています。

定年延長・65歳定年で確認する順番

  1. 自分の会社が、定年の引上げ・継続雇用・定年廃止のどれを採っているかを、就業規則で確認する。
  2. 退職金規程の「支給事由」に、旧定年での支給が書かれているかを確認する。
  3. 旧定年の時点で打切り支給を受ける場合は、源泉徴収票の区分(退職所得か給与所得か)を確認し、疑問があれば税務署に聞く。
  4. 規程を変更して退職金が減る場合は、退職金規程の引き下げ(不利益変更)の条件を確認する。

定年後の収入と年金・失業手当の関係は定年退職と失業手当の受給期間の延長と高年齢雇用継続給付で確認できます。

よくある質問

会社は定年を65歳に引き上げなければなりませんか。

引き上げが義務になるわけではありません。高年齢者雇用安定法第9条は、65歳未満の定年を定めている事業主に、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかの措置を求めています。厚生労働省も、2025年4月1日以降に65歳までの定年の引き上げが義務になるわけではないと説明しています。

定年を延長したとき、旧定年で退職金を打切り支給すると税金はどうなりますか。

国税庁の所得税基本通達30-2(5)は、労働協約等を改正して定年を延長した場合に、旧定年に達した使用人へ旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、支払うことにつき相当の理由があると認められるものを、退職手当等とされる給与の一つに挙げています。相当の理由があるかは個別の事情で決まるため、税務署または税理士に確認してください。

役職定年で退職金は支払われますか。

通達30-2の列挙((1)から(6))に、役職定年という語はありません。役職を外れるだけで雇用が続く場合の退職金の扱いは会社の退職金規程で決まるため、規程と税務署・税理士で確認してください。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第8条・第9条(e-Gov法令検索)、厚生労働省「高年齢者雇用確保措置の経過措置終了」、国税庁「所得税基本通達 第30条〜第35条関係」を2026-10-14に確認して作成しています。このページは一般的な制度の説明で、個別の税務判断ではありません。個別の事案は税務署または税理士に確認してください。

出典