退職代行は3種類あり、会社と話せる範囲が違う
東京弁護士会は、退職代行サービスを「業者にお金を払うことで、業者が本人に代わって、退職の意思を会社へ伝えるサービス」と説明しています。運営する主体は、弁護士(法律事務所)、労働組合、民間業者に分かれます。
| 運営する主体 | 確認できる根拠 | 退職金などの条件を会社と話せるか |
|---|---|---|
| 弁護士・弁護士法人 | 弁護士は、依頼を受けて一般の法律事務を行うことを職務とします(弁護士法第3条)。 | 法律事務として扱えます。退職金・残業代・有給休暇などの請求の交渉も、弁護士の職務の範囲です。 |
| 労働組合 | 労働組合の代表者または委任を受けた者は、組合員のために使用者と交渉する権限を持ちます(労働組合法第6条)。 | 組合員として加入したうえで、組合が使用者と交渉します。東京弁護士会は、労働組合が交渉する場合でも、その行為が非弁行為にならないとは限らないと説明しています。 |
| 民間業者 | 弁護士でない者が報酬を得て法律事務を扱うことは、弁護士法第72条が禁じています。 | 退職の意思を伝える範囲です。退職金、残業代、有給休暇の取得などを本人に代わって会社と話し合うと、非弁行為になる可能性があると東京弁護士会は説明しています。 |
東京弁護士会の注意喚起では、業者が代金を受け取ったうえで、法律的な問題の交渉を提携先の労働組合に回すことも、非弁行為になる例として挙げられています。2025年10月22日には、弁護士法違反の疑いで退職代行の運営会社や法律事務所等に強制捜査が行われたことを受けて、同会が改めて注意喚起をしています。どのサービスが当たるかは、個別の事情で変わり、同会も個別の問い合わせには回答していません。
退職金:退職代行を使うかどうかでなく、規程と請求の手順で決まる
退職金は法律で必ず出すものではなく、就業規則や退職金規程に定めがある場合に支払われます。支払時期も規程で決まり、請求できる期間は5年です。詳しくは退職金の支払時期と時効で確認できます。懲戒解雇などで不支給や減額の定めがある場合は懲戒解雇と退職金の不支給を見てください。
退職金の額や支払いが争いになりそうなときは、民間業者ではなく、弁護士か、労働基準監督署内などに設置された総合労働相談コーナー(予約不要・無料)に相談する順番になります。相談先は退職金の受取前後の手続きチェックリストに案内があります。
退職の意思を伝えてから辞めるまで
期間の定めのない雇用では、各当事者はいつでも解約の申入れができ、申入れの日から2週間を経過すると雇用は終了します(民法第627条第1項)。有期雇用の途中で辞める場合などは扱いが変わることがあるため、個別の判断は弁護士や総合労働相談コーナーに確認してください。
離職票・源泉徴収票・退職証明書の受け取り方
| 書類 | 確認できる決まり | 届かないとき |
|---|---|---|
| 離職票 | 事業主は、離職票の交付を請求するために離職証明書の交付を求められたとき、交付しなければなりません(雇用保険法施行規則第16条)。失業手当の手続きで使います。 | 住居地を管轄するハローワークに問い合わせます。退職時に会社から受け取る書類の一覧に確認先があります。 |
| 源泉徴収票 | 会社は、退職の日以後1か月以内に交付します(所得税法第226条)。退職所得の源泉徴収票の見方で確認できます。 | 会社に連絡して再発行を求めます。確定申告や年末調整で必要になります。 |
| 退職証明書 | 労働者が使用期間、業務の種類、賃金、退職の事由などについて証明書を請求したとき、使用者は遅滞なく交付しなければなりません(労働基準法第22条)。 | 労働基準監督署または総合労働相談コーナーに相談できます。 |
失業手当の目安は失業手当はいつ・いくら、離職理由の見方は離職票-2の見方と異議の書き方で確認できます。会社から離職票が届かないことは、退職代行を使う場合も同じように起こり得ます。業者が書類の受け取りを代わりにするかどうかは、利用前に契約の内容で確認してください。
使う前に確認する順番
- 就業規則・退職金規程で、退職金の有無、支払時期、不支給・減額の条項を確認する。
- 退職金・残業代・有給休暇など、会社と話し合う項目があるかを整理する。あるなら、弁護士または労働組合かどうかを確認する。
- 離職票・源泉徴収票を受け取る方法(郵送先など)を、会社と決めておく。
- 手取りの目安は手取り計算で確認する。
よくある質問
退職代行を使っても、退職金はもらえますか。
退職金は就業規則や退職金規程の定めで決まるため、退職代行を使ったかどうかだけで決まるものではありません。支払時期と請求できる期間は、退職金の支払時期と時効のページで確認できます。不支給や減額の定めがある場合は、規程の条項と退職の事情に当たるかが問題になります。
退職代行業者は、会社と退職金の話し合いをしてよいですか。
東京弁護士会は、退職金、残業代、有給休暇の取得などは「法律的な問題」であり、弁護士や弁護士法人でない業者が本人に代わって会社と話し合うと、非弁行為(弁護士法第72条違反)になる可能性があると説明しています。個別のサービスが当たるかどうかは、同会も回答していません。
弁護士・労働組合・民間業者は、どう違いますか。
弁護士は、依頼を受けて一般の法律事務を行うことが職務です(弁護士法第3条)。労働組合の代表者や委任を受けた者は、組合員のために使用者と交渉する権限を持ちます(労働組合法第6条)。民間業者は弁護士でも労働組合でもないため、法律的な問題を扱う代理や交渉はできないとされ、退職の意思を伝える範囲にとどまると東京弁護士会は説明しています。
離職票や源泉徴収票は、退職代行を使うと受け取れますか。
離職票は、本人が離職票の交付を請求するために離職証明書の交付を求めたとき、事業主が交付しなければならないと定められています(雇用保険法施行規則第16条)。源泉徴収票は、会社が退職の日以後1か月以内に交付します(所得税法第226条)。届かないときの確認先は、退職時に会社から受け取る書類の一覧にまとめています。
退職の意思を伝えてから、いつ辞められますか。
期間の定めのない雇用では、解約の申入れの日から2週間を経過すると雇用は終了します(民法第627条第1項)。有期雇用の途中で辞める場合など、事情で扱いが変わる場合があります。個別の判断は弁護士や総合労働相談コーナーに確認してください。
出典
- 東京弁護士会 非弁護士取締委員会「退職代行サービスと弁護士法違反」(toben.or.jp)
- 東京弁護士会「退職代行サービスと弁護士法違反に関する注意喚起」(2025年10月22日)(toben.or.jp)
- e-Gov法令検索 民法 第627条(laws.e-gov.go.jp)
- e-Gov法令検索 労働基準法 第22条(laws.e-gov.go.jp)
- e-Gov法令検索 労働組合法 第6条(laws.e-gov.go.jp)
- e-Gov法令検索 弁護士法 第3条・第72条(laws.e-gov.go.jp)
- e-Gov法令検索 雇用保険法施行規則 第16条(laws.e-gov.go.jp)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(mhlw.go.jp)