結論: 法律上は申入れから2週間、会社の定めは就業規則で確かめる
期間の定めのない雇用では、民法627条1項が「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定めています(e-Gov法令検索、確認日2026-10-15)。一方、労働基準法89条は、退職に関する事項を就業規則に書くべき事項としています。このため、多くの会社の就業規則には、退職の申出の時期(「1か月前まで」など)が書かれています。
法律の2週間と就業規則の予告期間がずれているときにどちらが優先されるかは、事案によって判断が分かれます。この点は断定せず、労働基準監督署の総合労働相談コーナーや専門家へ確認してください。
契約の種類による違い
| 契約の種類 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 期間の定めがない(正社員など) | 民法627条1項 | 申入れの日から2週間で雇用が終了 |
| 期間の定めがある(契約社員など) | 民法628条 | やむを得ない事由があるときは直ちに解除できる。事由が当事者の過失によるときは損害賠償の責任を負う |
期間によって報酬を定めている場合の使用者からの解約申入れには、民法627条2項・3項に別の定めがあります。これは使用者側の申入れの規定で、労働者の退職の申出とは別です。
退職日の決め方が関わる3つの点
有給休暇の残り
厚生労働省の資料では、退職すると退職日をもって年次有給休暇の権利は消滅します。退職間近に残りの年休をすべて使って退職したいと申請された場合、退職で権利が消えるため使用者は時季変更権を行使できず、取得を認めるほかないと説明されています。引き継ぎのために退職日を遅らせたいと会社から打診されても、応じるかどうかは労働者が決めます。申出の際は、残りの日数を数えたうえで、退職日を逆算します。
社会保険の資格喪失日
日本年金機構の案内では、健康保険・厚生年金保険の資格喪失日は退職日の翌日です。月末に退職すると翌月1日が資格喪失日になり、退職月分の保険料まで納めます。月の途中で退職すると、退職月の保険料は発生しません。数え方と住民税の違いは退職日の選び方と社会保険料・住民税で確認できます。
退職金の算定
退職金の額や支給の条件は、会社の退職金規程で決まります。勤続年数をどこまで数えるか、自己都合と会社都合で算定が分かれるかは規程ごとに異なるため、退職日を決める前に規程を読みます。規程の見方は退職金規程の読み方にまとめています。
賞与の支給日の前後で退職日を決めるときは、就業規則の支給条件を先に確かめます。支給日在籍要件の考え方は賞与の支給日前に退職したときの扱いで整理しています。
申出から退職日までの確認の順番
- 就業規則で、退職の申出の時期と申出先(直属の上司か人事か)を確かめる。
- 残りの有給休暇の日数を数え、消化したい日数を退職日から逆算する(退職時の年休の買取り・消化)。
- 月末か月中かで、社会保険料の月数が変わることを確かめる。
- 退職金規程で、退職日が算定に関わるかを確かめる。
- 退職届の受領や退職日の合意を、書面やメールで残す。
退職後の手続きの全体は退職後の手続きチェックリスト、期限は退職後の手続き期限の一覧で確認できます。
退職の際に求められる誓約書への署名の前に確かめる点は、退職時の誓約書(秘密保持・競業避止)の確認点にまとめています。
退職金の手取りは手取り計算で確認できます。
よくある質問
退職は何日前に申し出ればよいですか。
期間の定めのない雇用では、民法627条1項により、解約の申入れの日から2週間を経過すると雇用が終了します。就業規則に「1か月前まで」などの定めがある会社も多く、その場合の優先関係は事案によって判断が分かれるため、労働基準監督署の総合労働相談コーナーや専門家へ確認してください。
契約期間のある契約社員でも、2週間で辞められますか。
民法627条1項は期間の定めのない雇用の規定です。期間の定めがある場合、民法628条は、やむを得ない事由があるときに直ちに解除できると定めています。契約期間の途中で辞められるかは契約内容と事情によるため、個別に確認が必要です。
退職日までに有給休暇を使い切れますか。
厚生労働省の資料では、退職日をもって年次有給休暇の権利は消滅し、残りの年休をすべて使って退職したいと申請された場合、使用者は時季変更権を行使できず、取得を認めるほかないと説明されています。引き継ぎのために退職日を遅らせるかどうかは、労働者が決めることとされています。
退職日を月末にするか月中にするかで、社会保険は変わりますか。
変わります。社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格喪失日は退職日の翌日で、月末退職なら退職月分まで保険料を納めます。詳しい数え方は退職日の選び方のページで確認できます。
退職日によって退職金は変わりますか。
退職金の算定方法は会社の退職金規程で決まります。勤続年数の端数の扱いや支給の条件が規程にあるため、退職日をずらす前に規程と就業規則で確かめてください。退職金の手取りは手取り計算で目安を確認できます。
出典
- 民法第627条・第628条(e-Gov法令検索)
- 労働基準法第39条・第89条(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」年次有給休暇(check-roudou.mhlw.go.jp)
- 日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」(nenkin.go.jp)