繰上げ受給の減額率(1か月0.4%・最大24%)
日本年金機構の案内によると、老齢基礎年金・老齢厚生年金は、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取れます。減額率は、繰上げ請求の月から65歳に達する日の前月までの月数に、1か月あたりの率を掛けて求めます。
| 繰上げ請求の年齢 | 昭和37年4月2日以降生まれ(1か月0.4%) | 昭和37年4月1日以前生まれ(1か月0.5%) |
|---|---|---|
| 60歳 | 24.0% | 30.0% |
| 61歳 | 19.2% | 24.0% |
| 62歳 | 14.4% | 18.0% |
| 63歳 | 9.6% | 12.0% |
| 64歳 | 4.8% | 6.0% |
減額は生涯続きます。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として同時に繰上げ請求をします。特別支給の老齢厚生年金を受けられる人は、受給開始年齢までの月数で計算します。
繰下げ受給の増額率(1か月0.7%・最大84%)
老齢基礎年金・老齢厚生年金は、65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて、増額した年金を受け取れます。増額率は、65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数に0.7%を掛けて求め、生涯変わりません。
| 繰下げ請求の年齢 | 増額率 |
|---|---|
| 66歳 | 8.4% |
| 67歳 | 16.8% |
| 68歳 | 25.2% |
| 69歳 | 33.6% |
| 70歳 | 42.0% |
| 71歳 | 50.4% |
| 72歳 | 58.8% |
| 73歳 | 67.2% |
| 74歳 | 75.6% |
| 75歳 | 84.0% |
昭和27年4月1日以前生まれの人(または平成29年3月31日以前に受給権が発生した人)は、繰下げの上限が70歳で、増額率は最大42%です。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられ、どちらか一方だけの繰下げもできます。特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度がありません。
繰上げ・繰下げで注意すること
日本年金機構が示す主な注意点を、退職後の暮らしに関わるものに絞って並べます。
| 選び方 | 日本年金機構の案内 |
|---|---|
| 繰上げ | 請求の取消しはできない。国民年金の任意加入と保険料の追納ができなくなる。寡婦年金は支給されず、事後重症などによる障害基礎(厚生)年金も請求できなくなる。 |
| 繰上げ | 65歳になるまでの間に雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる(老齢基礎年金は止まらない)。 |
| 繰下げ | 加給年金額と振替加算額は増額の対象にならず、待機期間中は受け取れない。 |
| 繰下げ | 繰下げ待機中に亡くなった場合、繰下げの請求は遺族が代わって行えない。 |
| 繰下げ | 障害給付や遺族給付を受ける権利があるときなど、繰下げの申出ができない場合がある。 |
増額・減額の対象は、老齢基礎年金の額(振替加算額を除く)と老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)です。年金生活者支援給付金、医療保険・介護保険の自己負担や保険料、税金に影響する場合があるとも案内されています。
在職中に繰り下げるとき(在職老齢年金との関係)
65歳以後も厚生年金に加入して働く場合や、70歳以後に厚生年金の適用事業所で働く場合、在職老齢年金の仕組みで支給停止される額は、繰下げによる増額の対象になりません。日本年金機構は、繰下げ加算額に平均支給率を掛けて計算すると案内しています。
平均支給率は、月ごとの支給率の合計を繰下げ待機期間で割った値です。月ごとの支給率は「1-(在職支給停止額÷65歳時の老齢厚生年金額)」です。支給停止の基準額は在職老齢年金の支給停止調整額、再就職後の給付は高年齢雇用継続給付と再雇用を参照してください。
退職金を受け取る年との関係
国税庁によると、退職金などの退職所得は原則として他の所得と分離して所得税額を計算します(タックスアンサーNo.1420)。一方、国民年金・厚生年金などの公的年金等は雑所得となり、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します(No.1600)。
| 収入の種類 | 所得の区分 | 計算の考え方(国税庁) |
|---|---|---|
| 退職金 | 退職所得 | 原則として他の所得と分離して所得税額を計算 |
| 国民年金・厚生年金など | 雑所得(公的年金等) | 収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算 |
退職金の税引後手取りは手取り計算で確認できます。退職金を年金形式で受け取る場合は退職金を年金で受け取るときの税金、企業年金の通算は通算企業年金(企業年金連合会)の仕組みを参照してください。年金を受け始める年の税額や社会保険料への影響は、受け取る額によって変わるため、ここでは試算しません。
このページで扱わないこと
- 個別の年金見込額、繰上げ・繰下げの損益分岐の年齢、どの時期に受け始めるのが有利かの判断は扱いません。年金事務所やねんきんダイヤル、「ねんきんネット」で確認してください。
- 65歳以上で退職したときの失業給付(高年齢求職者給付金)は65歳以上で退職したときの高年齢求職者給付金で扱います。賃金と年金の調整は、上の在職老齢年金のページを参照してください。
- 退職後にiDeCoへ加入できるか(繰上げ受給している人は加入できません)は退職後にiDeCoへ加入し直せるかで扱います。
- 退職後の国民年金への切り替えは退職後の国民年金への切り替えで扱います。
よくある質問
繰上げ受給すると、年金はどれだけ減りますか。
日本年金機構によると、減額率は0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数で、最大24%です。昭和37年4月1日以前生まれの人は1か月0.5%で最大30%です。減額は生涯続き、繰上げ請求の取消しはできません。
繰下げ受給すると、年金はどれだけ増えますか。
増額率は0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数で、70歳で42%、75歳で最大84%です。昭和27年4月1日以前生まれの人は上限が70歳で最大42%です。増額は生涯続きます。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられます。
退職金を受け取る年に、年金の受け取りを始めても大丈夫ですか。
国税庁によると、退職所得は原則として他の所得と分離して所得税額を計算し、公的年金等は雑所得として公的年金等控除額を差し引いて計算します。税額は別々の計算ですが、個別の税額や社会保険料への影響は、税務署・年金事務所・市区町村へ確認してください。
退職後に失業手当を受けるあいだ、繰上げした年金はどうなりますか。
日本年金機構は、65歳になるまでの間に雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になると案内しています。老齢基礎年金は支給停止されません。
出典
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」(nenkin.go.jp)。更新日 2024年8月19日、確認日 2026-10-14
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」(nenkin.go.jp)。更新日 2026年8月12日、確認日 2026-10-14
- 国税庁タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」(nta.go.jp)。確認日 2026-10-14
- 国税庁タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(nta.go.jp)。確認日 2026-10-14