通算企業年金とは
企業年金連合会によると、通算企業年金は、退職などで加入していた企業年金を脱退したときの年金原資を連合会が預かり、将来、年金として支払う仕組みです。生涯受け取れる終身年金で、保証期間があります。対象になる人は、次の3つです。
- 確定給付企業年金(DB)または厚生年金基金を退職などで抜け、脱退一時金を受け取れる人(中途脱退者)
- 企業型確定拠出年金(企業型DC)を退職などで抜け、個人別管理資産がある人(令和4年5月1日以降に加入資格を失った人)
- 加入していたDBや厚生年金基金が解散・制度終了し、残余財産分配金を受け取れる人
中途脱退者の場合、「脱退一時金相当額」とは、一時金で受け取る代わりに通算企業年金を選んだときに、脱退一時金と同じ金額を年金原資として連合会に移すことを指します(連合会Q&A)。一部を現金で受け取り、残りを移すことはできず、全額を移す必要があります。
一時金で受け取る場合と連合会に移す場合の違い
| 項目 | 一時金で受け取る | 通算企業年金にする(連合会へ移換) |
|---|---|---|
| 受け取る時期 | 退職後、加入していた企業年金の手続きで受け取る | 受取開始年齢(原則65歳)から年金。60歳以降の繰上げ請求もできる |
| 移換時の税金 | 退職手当等とみなされる一時金として退職所得になる(国税庁) | 移換には税金がかからない |
| 受取時の税金 | 一時金を受け取った年の退職所得 | 年金を受け取る各年の雑所得(公的年金等控除の対象) |
| 手続きの窓口 | 加入していた企業年金 | 加入していた企業年金へ申出(企業型DCは連合会へ申出) |
| 費用 | 連合会の事務費は関係しない | 移換時に事務費(定額1,100円+定率、上限33,000円)が引かれる |
| 途中で現金化 | 受取後は自由 | 受取開始年齢前は一時金で引き出せない |
一時金にした場合の税金は退職金以外で退職所得になる一時金、手取りの試算は手取り計算で確認できます。年金で受け取るときの税金は退職金を年金で受け取る場合の税金にあります。
申出の期限
| 移す前の制度 | 期限 | 申出先 |
|---|---|---|
| DB・厚生年金基金(中途脱退) | 加入資格を失った日(通常は退職日の翌日)から1年以内 | 加入していた企業年金 |
| 企業型DC | 加入資格を失った日の翌月から6か月後の月末まで | 企業年金連合会 |
DB・厚生年金基金の期限は、天災、本人の入院などのやむをえない事情がある場合に限り、1年を超えても申し出られます。1年以内でも、移すのが遅れるほど運用期間が短くなり、将来の年金額は少しずつ下がります。企業型DCは、期限を過ぎると資産は国民年金基金連合会へ自動的に移され、連合会への移換申出はできなくなります。企業型DCの6か月の手続き全体は企業型確定拠出年金を退職・転職したあとの手続きにあります。期限を日数順に並べた表は退職後の手続き期限の一覧で見られます。
受け取り方の主な決まり
- 受取開始年齢: 原則65歳です。昭和36年4月2日以後生まれ(女性は昭和41年4月2日以後生まれ)は65歳で、それより前の生まれは60〜64歳に段階的です。60歳から繰り上げて請求でき、その場合の年金額は減ります。繰下げて増やす仕組みはありません。
- 保証期間: 受取開始年齢から原則80歳までです。この間に亡くなったときは、残りの保証期間に応じた死亡一時金が遺族に支給されます。年金は終身なので、80歳を過ぎても受け取れます。
- 選択一時金: 受取開始年齢に達したあと、または年金を受け取り始めたあとでも保証期間内で、災害による著しい損害、債務の返済が困難、心身の重大な障害や長期入院などの事情があるときに受け取れます。税金は退職所得扱いです(連合会Q&A)。
- 年金額: 移換時の年齢などに応じた予定利率で決まり、予定利率は加入資格を失った日の時点のものが生涯適用されます。物価スライドはなく、再就職後に再び移換しない限り、年金額は増えません。
- 事務費: 移換のたびに、定額事務費1,100円と定率事務費(上限33,000円)が引かれます。脱退一時金相当額が1,100円以下のときは移換できません。
移すか受け取るかを決める前に確かめること
- 加入していた企業年金に、脱退一時金を受け取れる条件があるか。加入期間が1か月から3年のうち規約で定めた期間に満たないと、脱退一時金の対象にならず、移換もできません。
- 申出期限が、DB・厚生年金基金は1年、企業型DCは翌月から6か月後の月末であること。
- 移した後は、受取開始年齢まで現金化できないこと。
- 連合会のWebサイトの年金試算シミュレーションで、移換した場合の年金額を試算できること。
一時金を受け取る場合と、年金で受け取る場合のどちらが有利かは、加入期間、他の所得、受け取る年の状況により異なり、一律には言えません。個別の判断は、加入している企業年金の担当者、企業年金連合会、税務署へ確認してください。
よくある質問
通算企業年金とは何ですか。
退職などで確定給付企業年金や厚生年金基金を抜けたときの脱退一時金と同じ額(脱退一時金相当額)や、企業型確定拠出年金の個人別管理資産を企業年金連合会に移し、将来、保証期間付きの終身年金として受け取る仕組みです。
移換の申出は、いつまでにしますか。
確定給付企業年金・厚生年金基金からの移換は、退職後1年以内に、加入していた企業年金へ申し出ます。企業型確定拠出年金からの移換は、加入資格を喪失した日の翌月から6か月後の月末までです。企業型の期限を過ぎると、資産は国民年金基金連合会へ自動的に移されます。
移換すると税金はかかりますか。
企業年金連合会によると、移換には税金はかかりません。将来の年金を受け取るときは、公的年金と同じく雑所得(公的年金等控除の対象)として扱われます。一時金で受け取る場合は、退職手当等とみなされる一時金として退職所得になります。
移換したあとで、やはり現金で受け取ることはできますか。
企業年金連合会によると、受給権が発生する前(年金を受け取れる年齢になる前)に一時金で受け取ることは、法律上定められておらずできません。受取開始年齢以後は、災害や重い病気などの事情があるとき、保証期間内に限り選択一時金を受け取れる場合があります。
移換にかかる費用はありますか。
移換のたびに事務費が引かれます。定額事務費1,100円と、定率事務費(上限33,000円)です。脱退一時金相当額が1,100円以下のときは、移換できません。