年金で受け取ると雑所得、一時金で受け取ると退職所得
退職にともなって会社の年金制度から受け取るお金は、受け取り方で税金の種類が変わります。国税庁は、退職年金として給付されたものは公的年金等に当たり雑所得、退職一時金として給付されたものはみなし退職手当等に当たり退職所得として課税される、と説明しています。
| 項目 | 一時金で受け取る | 年金で受け取る |
|---|---|---|
| 所得の種類 | 退職所得 | 雑所得(公的年金等) |
| 所得の計算 | (収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2 | 年金の収入金額 − 公的年金等控除額 |
| 支払時の源泉徴収 | 「退職所得の受給に関する申告書」を出すと、支払者が税額を計算して引く。出さないと支払金額の20.42% | 収入金額から定められた控除額を引いた額の5.105%(原則) |
| 確定申告 | 申告書を出していれば原則不要。出していなければ確定申告で精算 | 収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら不要(確定申告不要制度) |
年金として受け取る場合:公的年金等の雑所得
公的年金等には、国民年金や厚生年金のほか、「過去の勤務により会社などから支払われる年金」と、確定給付企業年金法にもとづいて支給される年金が含まれます。会社の退職年金や確定給付企業年金を年金で受け取ると、日本年金機構から受け取る年金と同じ「公的年金等」の仕組みで課税されます。
所得は、年金の収入金額から公的年金等控除額を引いて計算します。国税庁の計算例は、65歳以上で、年金以外の合計所得金額が500万円、公的年金等の収入合計が350万円の人です。この場合の雑所得は、350万円 × 75% − 27万5,000円 = 235万円になります。控除額は年齢と、年金以外の所得の大きさで変わるため、自分の数字は国税庁の速算表で確認してください。
なお、生命保険契約にもとづく年金や互助年金は、公的年金等に当たりません。個人で入った保険の年金は別の扱いになります。
年金のときの源泉徴収と確定申告
年金を受け取るときは、原則として、収入金額から定められた控除額を引いた額に5.105%をかけた税金が差し引かれます。令和9年1月1日以後は、復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、代わりに防衛特別所得税(源泉徴収する所得税額の1%相当額)もあわせて差し引かれます。
確定申告は、年金の収入が年400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら要りません。ただし、医療費控除などで還付を受けたいときは申告できます。また、所得税の申告が要らなくても、住民税の申告が必要な場合があります。
一時金として受け取る場合:退職所得
一時金は退職所得です。所得は(収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2 で計算します。退職所得控除額は、勤続20年以下なら「40万円 × 勤続年数」(80万円に満たないときは80万円)、20年を超えると「800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)」です。
- 申告書を出したとき: 支払者が税額を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は要りません。
- 申告書を出さなかったとき: 支払金額の20.42%が源泉徴収され、本人の確定申告で精算します。
- 自分で掛金を負担していたとき: 確定給付企業年金の退職一時金などで、従業員本人が負担した掛金があれば、支給額からその分を引いた額が退職所得の収入金額になります。
掛金を会社が払っている間の扱い
会社が確定給付企業年金などに払った掛金は、払った時点では、働く人に給与としては課税されません。課税は、退職後に年金や一時金として受け取るときに行われます。
年金と一時金、どちらが得かは断定できません
退職所得は退職所得控除と2分の1計算があり、年金は公的年金等控除があります。ただし、有利かどうかは、勤続年数、受け取る金額、ほかの年金や所得、受け取る期間で変わります。年金と一時金の選び方は、年金の制度を運営する基金や会社、税理士、税務署に確認してください。
一時金で受け取った場合の手取りは、手取り計算と退職金の手取り早見表で試算できます。退職所得控除は退職所得控除の早見表、申告書の出す・出さないの違いは退職所得の受給に関する申告書のページで確認できます。中退共・確定給付企業年金・DCの一時金が退職所得になる範囲は、退職金以外で退職所得になる一時金の一覧にまとめています。