退職金以外で退職所得になる一時金の一覧(中退共・DC・小規模企業共済ほか)

会社から直接支払われる退職金のほかにも、中小企業退職金共済(中退共)、確定給付企業年金、確定拠出年金(DC)、小規模企業共済などの一時金は、税金の上では退職金と同じ「退職所得」として扱われます。どの一時金が対象か、在職中に受け取る場合や受け取る年の決まり方を整理します。

「退職手当等とみなされる一時金」とは

退職所得になるのは、退職したことによって一時に支払われる給与です。これに加えて、所得税法31条は、法律や制度に基づいて支払われる一時金を「退職手当等とみなす」と定めています。退職所得の控除額の計算は、退職所得控除額の早見表で確認できます。

国税庁によると、退職の際や退職後に使用者から払われる給与でも、金額の計算基準などから見て、引き続き勤務している人に払う賞与などと同じ性質のものは、退職所得ではなく給与所得になります。

退職手当等とみなされる一時金(会社員が関係しやすいもの)

国税庁No.2725に挙げられた一時金のうち、民間の会社員が受け取ることがあるものを抜き出しました。全項目は出典で確認してください。

一時金国税庁の条件・注意
確定給付企業年金の退職一時金加入者の退職により支払われるもの。掛金のうち加入者が負担した分があるときは、一時金の額からその負担額を引いた部分に限られます。
確定拠出年金(DC)の老齢給付金の一時金企業型・個人型(iDeCo)の年金規約に基づき、老齢給付金として支給される一時金。
中小企業退職金共済(中退共)の退職金勤労者退職金共済機構が、中小企業退職金共済法により支給する退職金。
特定退職金共済の一時金特定退職金共済団体が行う退職金共済制度で、被共済者の退職により支給される一時金。
小規模企業共済の共済金・解約手当金中小企業基盤整備機構が小規模企業共済契約に基づいて支給する「一定の」共済金または解約手当金。どの共済金・解約手当金が当たるかの区分は原文で確認が必要です。
適格退職年金契約の退職一時金本人が負担した掛金があるときは、その負担分を引いた部分に限られます。
公的年金制度の一時金国民年金法・厚生年金保険法・各共済組合法などに基づいて支給される一時金。
社会福祉施設職員等退職手当共済の退職手当金福祉医療機構が、社会福祉施設職員等退職手当共済法により支給するもの。

このほか、一定の廃止された制度の一時金や、外国の制度で日本の社会保険に類するものの一時金も対象に挙がっています。

在職したまま受け取っても退職手当等になるケース

辞めていなくても、次のようなときに支払われるお金は、退職手当等として扱われることがあります。どれも、そのあとに払われる退職手当等の計算に、今回の勤続期間を一切含めない条件で支払われるものに限られます。

場面退職手当等になるもの
退職金制度を新設・改正した退職給与規程の新設や、中退共・確定拠出年金への移行など相当の理由による改正で、制定前・改正前の期間分として支払うもの。使用人の選択で支払われるものは、退職所得になりません。
使用人から役員になった使用人だった期間分の退職手当等。
役員の分掌変更(常勤から非常勤など)職務や地位が激変した役員への、変更前の役員期間分。例は、常勤から非常勤になった、報酬がおおむね50パーセント以上減ったなど。ただし、代表権がある人や、代表権はなくても実質的に経営上主要な地位にある人は、非常勤になった例から除かれます。
定年後も引き続き勤務する定年に達する前の期間分。
定年を延長した旧定年に達した使用人への、旧定年前の期間分。支給に相当の理由があると認められるもの。
法人の解散後に清算事務に従事する解散前の期間分。

執行役員になったときの一時金も、制度の内容によって退職手当等になる場合があります。条件が細かいため、原文または税理士に確認してください。

金額の決まり方に注意が要るもの

どの年の所得になるか(収入すべき時期)

退職手当等がどの年の所得になるかは、収入すると確定した日で決まります。ふつうは退職の日です。国税庁No.2728は、次のような場合を定めています。

場合所得になる年の決まり方
役員の退職手当等株主総会などの決議が必要なものは、退職後にその決議があった日。決議が金額を具体的に決めていない場合は、金額が具体的に決まった日。
退職給与規程の改訂による差額分支給日が決まっていればその支給日。決まっていなければ、改訂の効力が生じた日。
みなされる一時金(一般)給付事由(支給の理由となる出来事)が生じた日。
1つの勤務先を辞めて、その勤務先から退職金を受けるほかに、みなされる一時金も受ける一時金は、退職手当等のうち最初に受けるべきものの支払日が属する年の所得になります。
DCの老齢給付金の一時金上の扱いにはならず、給付事由が生じた日が基準です。

退職金と、中退共などの一時金の受け取り時期が年をまたぐとき、同じ年にまとめて課税される場合があります。実際にどの年になるか、控除をどう分けるかは個別の事情で変わります。同じ年に複数受け取る場合の控除の重なり方は退職所得控除の重複期間の調整を、支払者から届く書類の見方は退職所得の源泉徴収票の見方を見てください。

このページで扱わないこと

個別の一時金が退職所得に当たるかどうかの最終判断、小規模企業共済の共済金の細かい区分、税額の個別計算は扱いません。

自分の条件で試算する

退職金を受け取ったときの手取りの目安は手取り計算で試算できます。支払者へ出す書類は退職所得の受給に関する申告書のページで説明しています。

国税庁タックスアンサーNo.2725「退職所得となるもの」、No.2728「退職所得の収入金額の収入すべき時期」(令和8年4月1日現在法令等)にもとづく一般的な説明です。個別の一時金が退職所得になるかは、制度の内容や受け取り方で変わります。税理士または税務署へ確認してください。

出典