解雇・退職勧奨の解決金・退職加算金の税:退職所得か一時所得か

解決金や退職加算金を受け取るとき、どの所得に当たるかを分ける考え方を、国税庁の資料と条文で整理します。

結論:名称ではなく支払の趣旨で分かれる

「解決金」「退職加算金」という名前の所得区分は、国税庁の資料では確認できませんでした。そのため、税の扱いは名称でなく、そのお金が何の対価・補てんとして支払われたかで決まります。下の表は、国税庁の定義にあてはめた見分け方です。

支払の趣旨所得の区分根拠
退職したことに基因して一時に支払われる給与(退職しなければ支払われなかったもの)退職所得タックスアンサーNo.2725
解雇予告をしないで解雇する場合の予告手当退職所得タックスアンサーNo.2736
支払金額の計算基準などからみて、引き続き勤務している人の賞与等と同性質のもの給与所得タックスアンサーNo.2725
労務の対価や資産の譲渡の対価の性質がない、一時の所得一時所得タックスアンサーNo.1490
心身に加えられた損害などに基因する損害賠償金で政令で定めるもの非課税所得税法第9条第1項第18号

退職所得と一時所得の違い

退職所得は、退職手当等の金額から退職所得控除額を引き、その2分の1を課税対象にします(退職所得控除額の早見表)。勤続5年以下の役員等などは計算が変わります(短期退職手当等)。一時所得は、総収入金額から収入を得るために支出した金額と特別控除額(最高50万円)を引き、その2分の1を他の所得と合計します(タックスアンサーNo.1490)。どちらも2分の1が課税対象になる点は同じですが、控除額の考え方が違います。

項目退職所得一時所得
差し引く控除退職所得控除額(勤続年数で決まる)特別控除額(最高50万円)
課税対象にする割合控除後の金額の2分の1控除後の金額の2分の1
他の所得との合計分離して計算(他の所得と合計しない)総所得金額に合計する

勤続年数が長いほど退職所得控除額は大きくなるため、同じ金額でも区分で税額が変わります。手取りの目安は手取り計算で、退職所得として受け取る場合を試算できます。

合意書で確かめる点

よくある質問

解決金は退職所得になりますか、一時所得になりますか。

名称では決まりません。国税庁の資料では、退職所得は「退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われる給与」とされ、一時所得は「労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」とされています。実際の支払の趣旨によって分かれるため、個別の判断は税理士または税務署へ確認してください。

解雇予告手当は、どの所得になりますか。

退職所得とされる退職手当等に当たります(国税庁タックスアンサーNo.2736)。労働基準法第20条の予告をしないで解雇する場合に、使用者から支払われる予告手当が対象です。

未払いの給料や残業代を含む解決金は、どうなりますか。

国税庁は、退職に際して支払われる給与でも、支払金額の計算基準などから、引き続き勤務している人に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職所得ではなく給与所得とするとしています。解決金の内訳に未払賃金が含まれる場合は、合意書の記載を確かめてください。

慰謝料にあたる部分は、税金がかかりますか。

所得税法第9条第1項第18号は、心身に加えられた損害などに基因して取得する損害賠償金で政令で定めるものを非課税としています。ただし、どの部分がこれに当たるかは事情で変わるため、断定できません。

国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と所得税法にもとづく一般的な説明です。解決金・退職加算金は、合意の内容によって所得の区分が変わり、断定できません。税務相談・申告代行は行っていません。税理士または税務署へ確認してください。

出典