退職金にかかる住民税の計算(市6%・県4%・特別徴収は支払月の翌月10日まで)

退職金800万円・勤続11年の場合の住民税は180,000円です。計算の流れ、差し引かれる時期、申告書を出さない場合の扱いを、総務省・地方税法で整理します。

住民税の計算の流れ

退職金にかかる住民税(市町村民税と道府県民税)は、給与などの所得とは分けて計算し、退職金を受け取るときに会社が差し引いて納めます。計算は次の順です(総務省・横浜市の案内)。

  1. 退職所得控除額を求める(所得税の計算で使うものと同じ)
  2. 退職所得の金額=(退職金-退職所得控除額)×1/2。1,000円未満は切り捨てる
  3. 退職所得の金額に、市町村民税6%・道府県民税4%をかける。それぞれ100円未満は切り捨てる

勤続5年以下の場合は2分の1の扱いが変わることがあります。短期退職手当等(勤続5年以下)と特定役員退職手当等のページで計算例を確認できます。

計算例:退職金800万円・勤続10年2か月

国税庁の例にある条件(勤続年数は11年に切り上げ、退職所得控除額440万円)で計算します。

項目金額
退職所得の金額(800万円-440万円)×1/2=180万円
市町村民税(6%)180万円×6%=108,000円
道府県民税(4%)180万円×4%=72,000円
住民税の合計180,000円

金額の組み合わせごとの一覧は退職金の手取り早見表、自分の条件での試算は手取り計算で確認できます。

いつ・どこの住民税になるか

退職後に住民税の通知が届いて負担を重く感じる理由は、前年の所得をもとに決まる住民税の仕組みにあります。退職金と国民健康保険料のページで整理しています。

退職所得の受給に関する申告書を出さない場合

所得税は、申告書を出さないと退職金の20.42%が源泉徴収されます(国税庁)。住民税は事情が異なり、地方税法では、申告書を出していないときも、退職金の金額に退職所得控除を使った計算をした税額を差し引くと定められています(第328条の6第2項)。そのため、上の計算例の180,000円は、申告書を出した場合と同じ考え方で計算します。

ただし、同じ年に別の退職金がある場合は、申告書の記載によって差し引く額が変わります(第328条の6第1項)。所得税側の違いは退職所得の受給に関する申告書を出す・出さないの違いに、金額の例があります。

差し引かれた額と書類

会社は、退職の日以後1か月以内に、退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を受け取る人へ交付します(所得税法第226条、地方税法第328条の14)。特別徴収税額の欄が住民税にあたります。欄の見方は退職所得の源泉徴収票の見方にあります。

その年の退職金の合計で計算した住民税が、すでに差し引かれた額を上回るときは、市町村が差額を普通徴収(納付書での納付)で徴収します(地方税法第328条の13)。

よくある質問

退職金の住民税はどう計算しますか。

退職所得の金額=(退職金-退職所得控除額)×1/2(1,000円未満切り捨て)に、市町村民税6%・道府県民税4%をかけます。それぞれ100円未満は切り捨てます。

退職金800万円・勤続10年2か月の住民税はいくらですか。

退職所得控除額440万円を引いた360万円の2分の1、180万円が退職所得の金額です。市町村民税108,000円と道府県民税72,000円で、合計180,000円です。

退職金の住民税はいつ、どの自治体に納めますか。

退職金を支払うときに会社が差し引き、翌月10日までに納入申告書を出して納めます。課税する自治体は、退職金を受け取るべき日の属する年の1月1日現在の住所がある市町村です。

退職所得の受給に関する申告書を出さないと、住民税も多く引かれますか。

所得税と違い、地方税法では申告書を出していないときも退職所得控除を使った計算をした税額を差し引くと定められています。ただし、同じ年に別の退職金がある場合は、申告書の記載によって差し引く額が変わります。

本人が亡くなって遺族が受け取る退職手当金等は、住民税や所得税ではなく相続税の対象です。死亡退職金の相続税の非課税枠を確認してください。