手続きを比べた表
退職金が払われないときの主な手続きを、費用・期間・特徴で並べました(確認日2026-10-15)。どれを選ぶかは、請求する額、相手が話合いに応じそうか、証拠がそろっているかで変わります。請求が認められるかどうかは、この記事では判断しません。
| 手続き | どこで | 費用 | 期間・回数 | 特徴・向き不向き |
|---|---|---|---|---|
| 総合労働相談コーナーへの相談 | 都道府県労働局、労働基準監督署内など | 無料 | 面談か電話。予約不要 | 情報提供と制度の案内。労働基準法等の違反の疑いがあるときは担当部署に取り次がれる |
| 助言・指導 | 都道府県労働局長 | 無料 | 申出のあと労働局が対応 | 問題点を指摘して解決の方向を示し、当事者の自主的な解決を促す |
| あっせん | 都道府県労働局の紛争調整委員会 | 無料 | 原則1回の期日。2か月以内に終わった事案が76.5%(令和6年度、厚生労働省のパンフレット) | 弁護士・大学教授・社会保険労務士などが間に入る非公開の話合い。相手が参加しないと打ち切り。あっせん案の受諾は強制されない |
| 労働審判 | 地方裁判所 | 申立手数料と郵便料が必要(額は裁判所の手数料額早見表) | 原則3回以内の期日。平均審理期間82.6日 | 調停で話合いを試み、まとまらなければ審判。2週間以内に異議が出ると訴訟に移る。複雑で3回では終わらない事案には向かない |
| 少額訴訟 | 簡易裁判所 | 手数料と郵便料が必要(額は請求額で決まる) | 原則1回の審理 | 請求額60万円以下の金銭の支払が対象。証拠はその場で調べられるものに限られる。相手方の申出などで通常の訴訟に移ることがある |
期間と回数は、厚生労働省と裁判所の説明にある標準的な流れです。労働審判の平均審理期間は、裁判所の資料で平成18年から令和6年までに終了した事件の数字で、65.5%の事件が申立てから3か月以内に終わっています。個別の事案の期間は保証されません。
それぞれの特徴
総合労働相談コーナー・助言・指導・あっせん(労働局)
厚生労働省の個別労働紛争解決制度では、この3つはどれも無料で、労働者と事業主のどちらからでも使えます。制度を使ったことを理由に、事業主が労働者に不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています。あっせんの申込みは電子申請もできます。
あっせんは、当事者が別室で待ち、あっせん委員が双方の意見を個別に調整する方式が原則です。相手と顔を合わせずに話合いを進めたい人に向きますが、相手が参加しなければ成立しません。
労働審判(地方裁判所)
裁判所の説明では、労働審判は原則として相手方の住所などを管轄する地方裁判所に申し立てます。申立書には、当事者間の交渉など申立てに至る経緯の概要も記載する必要があるため、申立ての前に当事者間で交渉したり、行政機関のあっせんを行ったりしておくことが求められるとされています。あっせんで解決しなかったときの次の手続きとして考えられます。
少額訴訟(簡易裁判所)
最初の期日までに、自分のすべての言い分と証拠を出す必要があります。請求が認められる場合でも、分割払い、支払猶予、遅延損害金の免除の判決が出ることがあります。
弁護士に頼む費用が心配なとき
法テラス(日本司法支援センター)には、弁護士・司法書士による無料法律相談があります。厚生労働省の総合労働相談コーナーも、必要に応じて法テラスや裁判所と連携しています。利用できる条件は法テラスの案内で確認してください。
手続きを選ぶ前に確かめること
- 退職金規程(就業規則)に、支給条件と支払時期が書かれているか。支払時期と時効は退職金の支払時期と時効で整理しています
- 会社が不支給や減額を理由にしている場合は、その理由。たとえば懲戒解雇は懲戒解雇と退職金の不支給、会社が倒産したときの賃金は未払賃金の立替払で確認できます
- 相談の入口は退職金の受取前後の手続きチェックリストにもまとめています
よくある質問
退職金が払われないとき、まずどこに相談しますか。
厚生労働省の総合労働相談コーナーが入口です。都道府県労働局と全国の労働基準監督署内などにあり、無料で、面談か電話で相談できます。助言・指導とあっせんの申込みもここで受け付けています。
あっせんと労働審判は、何が違いますか。
あっせんは都道府県労働局の紛争調整委員会が間に入る話合いで、利用は無料です。相手が参加しなければ打ち切りになります。労働審判は地方裁判所の手続で、原則3回以内の期日で審理し、話合いがまとまらなければ審判が示されます。
少額訴訟は、退職金の請求に使えますか。
請求額が60万円以下の金銭の支払なら使える手続です。原則として1回の審理で終わりますが、相手方の申出や裁判所の判断で通常の訴訟に移ることもあります。請求が認められるかどうかは、規程や事実関係によって変わるため、この記事では判断しません。
弁護士に頼む費用が用意できないときは、どうしますか。
法テラス(日本司法支援センター)に、弁護士・司法書士による無料法律相談があります。利用できる条件は、法テラスの案内で確認してください。
出典
- 厚生労働省「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」(mhlw.go.jp)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(mhlw.go.jp)
- 裁判所「労働審判手続」(courts.go.jp)
- 裁判所「少額訴訟」(courts.go.jp)
- 厚生労働省パンフレット「職場のトラブル解決サポートします」(mhlw.go.jp)
- 法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」(houterasu.or.jp)