退職金は、基本退職金と付加退職金の合計
中退共(中小企業退職金共済制度)は、会社が掛金を納め、退職した従業員に中退共から退職金が支払われる仕組みです。中退共の説明では、退職金は「基本退職金」と「付加退職金」の2本建てで、両方を合計した額を受け取ります。
- 基本退職金: 掛金月額と納付月数に応じて、固定的に決まっている金額です。予定運用利回りを1.0%として定められています。この利回りは法令の改正で変わることがあります。
- 付加退職金: 基本退職金に上乗せされる金額で、運用収入の状況などに応じて決まります。掛金納付月数の43月目と、その後12か月ごとの基本退職金相当額に、厚生労働大臣が定めるその年の支給率をかけて、退職時まで足し合わせた額です。
付加退職金の支給率は年度ごとに違い、中退共の公式ページでは、令和5年度が0、令和6年度が0.0010、令和7年度が0、令和8年度が0.0061と示されています。支給率が0の年度は、その年度の分の付加退職金は上乗せされません。
掛金を納めた月数ごとの支給額
| 掛金納付月数 | 退職金の額(中退共の説明) |
|---|---|
| 11月以下 | 支給されません。ただし、通算制度を使う場合や、ほかの制度からの引継ぎがある場合は、11月以下でも支給されることがあります。 |
| 12月以上23月以下 | 掛金納付総額を下回る額になります。長期に加入した人の退職金を手厚くするためと説明されています。 |
| 24月以上42月以下 | 掛金相当額になります。 |
| 43月以上 | 運用利息と付加退職金が加わり、長く加入した人ほど有利になります。 |
転職が多い人や、中退共に入ってから日が浅い人は、納付月数が24月に届く前に退職すると、納めた掛金より少ない額か、支給なしになることがあります。個々の金額は、中退共の公式ページの退職金試算で調べられます。
受け取り方は3つ:一時金払い・全額分割払い・一部分割払い
中退共の退職金の受け取り方は、退職時に一括で受け取る一時金払いのほか、一定の要件を満たせば、5年間または10年間に分けて受け取る分割払い、一時金払いと分割払いを組み合わせる一部分割払い(併用払い)から選べます。
| 受け取り方 | 要件(中退共の説明) |
|---|---|
| 一時金払い | 退職金の全額を退職時に支払います。 |
| 全額分割払い(5年間) | 退職した日に60歳以上であり、退職金の額が80万円以上。 |
| 全額分割払い(10年間) | 退職した日に60歳以上であり、退職金の額が150万円以上。 |
| 一部分割払い(5年間) | 退職した日に60歳以上であり、退職金の額が100万円以上で、分割払い対象額が80万円以上、一時金払い対象額が20万円以上。 |
| 一部分割払い(10年間) | 退職した日に60歳以上であり、退職金の額が170万円以上で、分割払い対象額が150万円以上、一時金払い対象額が20万円以上。 |
分割払いの支払日は、毎年2月、5月、8月、11月の各15日です。年4回で、5年間なら全20回、10年間なら全40回になります。1回あたりの額は、5年間の場合は退職金額×(1000分の51+厚生労働大臣の定める率)、10年間の場合は退職金額×(1000分の26+厚生労働大臣の定める率)で計算されると、中退共は説明しています。
税金:一時金は退職所得、分割払いは雑所得
中退共の説明では、一時金払いで支払われる退職金は、税法上「退職手当等」とみなされ、ほかの所得と分けて課税されます。分割払いで支払われる分は、雑所得として課税されます。
| 受け取り方 | 所得の区分 |
|---|---|
| 一時金払い | 退職所得(退職手当等とみなされる) |
| 分割払い | 雑所得 |
- 申告書: 退職金の支払いを受けるときは「退職所得(の受給に関する)申告書」を出す必要があります。中退共では、「退職金(解約手当金)請求書」の中に退職所得申告書の欄があるため、そこに記入します。申告書を出さない場合の源泉徴収の違いは、退職所得の受給に関する申告書を出す・出さないの違いで整理しています。
- 税額の求め方: 中退共は、(退職所得額-退職所得控除額)×2分の1を課税対象の所得額とし、これに税率をかけると説明しています。
- 勤続年数: 退職所得控除額を求める勤続年数は、中退共の場合、退職金額の計算の基礎になった期間、つまり掛金が納められた期間です。
退職所得控除の金額は退職所得控除の早見表、手取りの目安は退職金の手取り早見表と手取り計算で確認できます。中退共など、会社の退職金以外で退職所得になる一時金は、退職金以外で退職所得になる一時金の一覧にまとめています。建設業の共済は建退共の退職金の請求条件・必要書類・税金で扱っています。
出典
- 勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部「退職金」(chutaikyo.taisyokukin.go.jp)