会社が倒産したら退職金は守られる?(保全措置は努力義務)

退職手当の保全措置の決まりと、社外積立の制度、守られていないときの立替払制度を法令の原文で確認します。

退職手当の保全措置は努力義務

賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)の第5条は、退職手当の保全措置を定めています。労働契約、労働協約、就業規則などで退職手当を支払うことを明らかにした事業主は、退職手当の支払に充てるべき額について、金融機関の保証などの措置を講じるよう「努めなければならない」とされています。

条文は努力義務です。会社に退職金の保全が義務づけられているわけではなく、すべての会社で倒産に備えた保全が行われているとは限りません。なお、保全の対象は退職手当です。退職金制度そのものを会社が設ける義務は、この条文にはありません。

保全措置が不要になる事業主

賃確法施行規則第4条は、次のような事業主を第5条の対象から除いています。退職金の支払が社外の制度などで用意されているためです。

中退共と特退共の仕組みは中退共の請求手続きと特退共の加入要件と税金で、制度の有無は退職金制度がある企業の割合で確認できます。

保全する額と4つの方法

施行規則第5条は、保全措置を講じる額を、次のいずれかの額以上としています。

  1. 労働者の全員が自己都合で退職すると仮定して計算した退職手当の見積額の4分の1
  2. 中小企業退職金共済法の掛金納付月数に当てはめて、労働者ごとに計算した額の合計(勤続の開始時期などで計算式が分かれます)
  3. 労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数代表者)と書面で協定した額

講じる措置は、施行規則第5条の2が次の4つを挙げています。

方法内容
保証契約退職手当の支払の債務を、銀行などの金融機関が保証する契約を結ぶ
信託契約労働者を受益者とする信託契約を信託会社などと結ぶ
質権・抵当権労働者の退職手当の債権を担保する質権または抵当権を設定する
退職手当保全委員会退職手当の支払の準備を管理する委員会を設置する(少なくとも1年に1回の開催と、5年間の記録の保存が必要)

保全されていなかったとき

会社が倒産して退職金が払われないときは、労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度があります。対象は定期賃金と退職手当で、立替払の額は未払賃金総額の80%、退職日の年齢別に限度額があります。中退共などの社外積立から支払われる額は、差し引いた額が立替払の対象になります。対象者や上限額は未払賃金立替払制度のページで確認できます。

退職金の請求権には時効があります。請求できる期間は退職金の支払時期と請求できる期間を確認してください。

在職中に確かめておくこと

よくある質問

会社は退職金を保全しなければなりませんか。

賃確法第5条は、退職手当を支払うことを就業規則などで明らかにした事業主に、保全措置を講じるよう努めることを求めています。努力義務で、保全しない会社に直ちに罰則がかかる定めではありません。

中退共や企業年金に入っている会社は、保全措置が要らないのですか。

施行規則第4条により、中退共、特退共、確定給付企業年金などに加入している事業主は、第5条の保全措置の対象から除かれています。退職金の支払が社外の制度で用意されているためです。

保全措置にはどんな方法がありますか。

施行規則第5条の2は、金融機関などによる保証契約、労働者を受益者とする信託契約、質権または抵当権の設定、退職手当保全委員会の設置の4つを挙げています。

保全されていない会社が倒産したら、退職金はどうなりますか。

退職手当は未払賃金立替払制度の対象です。立替払の額は未払賃金総額の80%で、退職日の年齢別に限度額があります。社外積立の制度から支払われる額は差し引かれます。

自分の会社の退職金が保全されているかは、どこで確かめられますか。

就業規則や退職金規程で、中退共や特退共などの社外積立の制度に加入しているかを確かめます。保全措置の有無や内容は、会社の担当部署か労働基準監督署に確認してください。

e-Gov法令検索の「賃金の支払の確保等に関する法律」と同法施行規則(確認日2026-10-13)にもとづく一般的な制度の紹介です。個別の会社で退職金が支払われるかどうかを保証するものではありません。法律上の判断は労働基準監督署や弁護士に確認してください。

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